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真鍮とは?
真鍮は五円玉を見てもわかる通り、新しいときは金と見まがうくらいの黄金色で輝きを放っています。しかし、空気に触れることで徐々に酸化が進み、次第にくすんだ枯草色に近い色味になってきます。このように、時間経過とともに見た目が変化していく金属でもあります。
真鍮製品としてよく挙げられるのは、上記の五円玉や、トランペット、仏具やドアノブなどの生活に密接にかかわりのある場所でも使用されています。
真鍮とは
銅と亜鉛の合金で、特に亜鉛が20%以上のものをいいます。
一般的に亜鉛の割合が多くなるにつれて色が薄くなり、少なくなるにつれて赤みを帯びます。亜鉛の割合が増すごとに硬度を増すが、同時に脆さも増すため、45%以上では実用に耐えられなくなります。
真鍮の種類
・銅:80~95%、亜鉛:5~20%:丹胴と呼ばれ、黄銅ではなくかなり銅に近い真鍮の状態。赤みがありつつ色合いが10~18金にかなり近く、耐食性も高いことから、建築用や一部アクセサリーなどに用いられます。
・銅:60~70%、亜鉛:30弱~40%:この辺りが、いわゆる黄銅と呼ばれ、私たちが目にする機会の多い部分。やはり展延性(柔軟にいろいろな形に変化出来る性質)がとても高く、カメラや時計などのパーツや、押し型、あるいは金属雑貨などに。亜鉛が30%のものは七三黄銅、40%のものは六四黄銅などとも呼ばれます。
・銅:60%前後、鉛が数%、鉄も数%、残りが亜鉛:こんな風に色々と混ざってくると、快削黄銅と呼ばれます。その名の通り切削性が高く、非常に加工しやすくなります。
・黄銅に錫を添加したもの:ネーバル黄銅などと呼ばれ、耐海水性を高めたもの。navalというだけに、海軍黄銅とも呼ばれます。
真鍮の特徴
・電流が流れやすい
銅と亜鉛の合金である真鍮は、合金のなかでも電気伝導性が高いのが特徴のひとつです。
電気伝導率が銀の次に高く、銀を100として97以上。
電気伝導性が高いということは電流が流れやすいということなので、真鍮はコネクターやコンセントといった接続器などの素材として使用されています。
・加熱によって複雑な形状にできる
真鍮は熱間鍛造性に優れています。熱間鍛造とは、歪んだ結晶が正常な結晶に変化する「再結晶温度」以上に熱した金属に対して行う加工のことです。熱間鍛造性に優れている真鍮は、過熱によって複雑な形状にも容易に加工できます。真鍮の熱間鍛造性を生かして加工したもので代表的なのは、ガスコンロのバーナーヘッドが挙げられます。
・薄く広げる・細く伸ばすことができる
真鍮は展延性に優れており、材料が破損せずに柔軟に変形することが可能です。また、展延性は展性と延性の2つに分けられます。展性は圧縮する力を加えた際に薄いシート状に成形できる性質、延性は引っ張る力を加えた際に細く引き伸ばせる性質のことです。この2つに優れた真鍮は、薄く広げたり細く伸ばしたりと両方の加工をすることが可能です。
・切削加工しやすい
真鍮には鉛やビスマスが含まれており、被削性が高いです。被削性とは切削加工する際の削りやすさのことを意味します。被削性が高い真鍮は高度な精密加工が必要な部品の素材としても使用されおり、時計などの精密部品やボルト、ナットなどは真鍮の被削性を利用したものです。
また、極微量作用といって、僅かの量で驚くほどの殺菌作用があるため、ドアハンドルや引手などの真鍮金物は衛生上もすぐれています。
真鍮のデメリット
真鍮は、空気中では徐々に表面が酸化されて酸化銅(黒ずみ)という皮膜に覆われます。
メッキ加工やクリアコートなどの加工を施していなければすぐに錆びたり、黒く変色してしまいます。5円玉を想像していただければわかりやすいかと思いますが、真鍮は放置しているだけでもすぐに黒く変色していきます。真鍮は銅と亜鉛の合金のため、水分に弱く触って手垢や汗などがつけば湿気や汗の影響で、変色や錆が進行します。
また、ラテックスなどのゴム製品と相性が悪く、ラテックス類・生ゴムに塗ると黄銅の成分(銅と亜鉛)によりゴムを分解腐食させてしまう欠点があります。
真鍮の用途
紙幣の印刷機などの精密機械や水洗便所の給水管や便器給水スパッド、理化学器械類や鉄道模型等の素材、弾薬の薬莢や金属模型などに広く使用されています。
日本では仏具や金管楽器などに多く使用されています。(金管楽器の別名であるブラス(brass)は黄銅の英名に由来している)。また、1948年から2016年現在に至るまで日本で発行されている五円硬貨の素材としても使われています。
金に似た美しい黄色の光沢を放つことから金の代用品にもされ、poorman’s gold(貧者の金)と呼ばれる。日本の時代劇において小道具として使われる偽の小判も真鍮製のものが多くあります。
銅に亜鉛を混ぜていることで、独特な金色系の輝きが出ることはもちろんのこと、
適度な硬さ、強度があり、それでいて柔軟に変形させたり、切削がしやすいことから建築からアクセサリー、機械や歯車、もちろん金具として小物に使われることが多い素材です。
特に真鍮は無垢材で用いると、ずっしりとした重厚感があり、また酸化することで表面が時間が経つとともに変わって行くことから、革小物やアクセサリーでは好んで使われます。
真鍮は使うほどに強い金属光沢が抑えられてやわらかい表情になり、日焼けが進んだ革とよく馴染みます。変化していく、魅力的な表情を持つ素材です。
http://www.metal-speed.com/information/1610/
真鍮の指輪(リング)のお手入れ。
リングは直接肌に接しているため、一日つけているだけで黒ずみや、皮膚に色移りする場合などがありますが、手入れをすることによって風合いを残したまま汚れを取ることも、ピカピカの新品の風合いにすることも可能です。
手入れの方法としては、酢やレモン汁などの酸性の液体に漬け置きする方法が知られています。アンティークな風合いを残したまま汚れを取り除きたい場合は、市販の金属磨き(シルバー磨き)の布やクリームを使って手入れを行いましょう。この方法の場合は、リングに付き物の小傷を目立たなくし、ツヤが増す効果があります。
真鍮のネックレスはどう手入れする?
細工が繊細な物や石がついている物は手入れをすることで変形したり、石が変質する場合があります。そのような場合は、購入したお店に相談することをお勧めします。また、チェーンは変形したり、伸びることで切れてしまうことがありますのでお手入れの際は交換が必要な状態にないか、チェーンの輪が緩んでいないかを確認するようにしましょう。
真鍮のアクセサリーはどこで購入できる?
個人の作成しているものの中には、真鍮同士を接着するために行う「ロウ付け」の処理が雑なものがあります。信頼できる作り手で購入するか、購入者のレビューを参考にしてみてください。
真鍮は重曹でも磨けます。
しつこい黒ずみを落とす場合や、複数のアクセサリーを一度に手入れする場合は、空き容器に重曹2:水1の割合でシャーベット状になるように練り合わせ、それを使いましょう。大きな面は指で、細かい部分は綿棒を使うと作業がはかどります。手入れをするときは、力を入れすぎてアクセサリー本体を変形させないように注意が必要です。
真鍮をメッキした製品のお手入れ
真鍮を地金に使い、表面を他の金属(シルバー、プラチナ、K18などの金)でメッキをかけている場合も、鉄やステンレスなどの金属に真鍮メッキをかけている場合もゴシゴシ磨いたり傷をつけることはダメージが大きいため、普段のお手入れではメガネ拭きなどの柔らかい布でそっと拭くに留めるのが最善です。
メッキ製品は消耗品と考え、汚れたり傷が入ったものは買い替えるか再メッキをかけるしかありません。メッキの良い点は安価で手に入ることですが、長期間の使用やハードな手入れに耐えるほど強い製品ではないことを踏まえて選ぶことが大切です。
真鍮に表面コーティングしてあるものはどんな手入れ?
真鍮にクリアーコーティングしているものの手入れは、コーティングに傷をつけないように柔らかい布で乾拭き程度にとどめておくことです。重曹などでの擦り洗いや金属磨きの布で磨くとコーティングが剥がれたり、曇りの原因になります。また、薬品や酢を使った洗浄はコーティング自体の変質や変色につながる場合があります。
真鍮を酢やレモン汁で手入れしてみよう。
家庭にある食酢を使用する場合は、砂糖などが入っていない物を使用しましょう。レモン汁も果汁100%の物であれば使用できます。漬け置き時間の目安は、汚れの程度と漬け置いた後に指でそっと擦った際に黒い汚れが取れるかで判断しましょう。
購入時のピカピカとした光沢のある状態にしたい場合は、金属磨き用の布でやさしく拭いてやると新品の輝きにもどります。
真鍮のカトラリーはどうやって手入れすればいい?
黒ずみが気になる場合は、前述の重曹でのお手入れをしましょう。食品基準の重曹や酢、レモン汁であれば人の口に入る前提で作られている物のため、手入れに使用する際も安心です。
真鍮はカトラリーだけでなく、キッチン用品で使用されているのを度々見受けられます。金やプラチナ、シルバーほど高価ではないけれど独特の輝きのある真鍮を生活に取り入れてみましょう。
真鍮の鍋はどうやって手入れする?
きちんと手入れをしていれば、使い込むにしたがって味わいのある色に育っていきます。定期的に真鍮磨きのクリーナーで手入れをすると、輝きを取り戻せます。
緑青がついてしまったときの手入れは?
緑青は銅や真鍮が水分、塩分、酸化により生成する錆のようなものです。鉄の錆とは違い、緑青は簡単に落とすことができます。緑青ができた真鍮製品は重曹や、酢に塩を加えたものでこすり落とすと簡単に落とせます。市販の真鍮クリーナーを使うのもいいでしょう。
この時注意が必要なのは、緑青を落とすことに夢中になり、真鍮自体に傷をつけないようにすることです。ワイヤーのような硬い毛のブラシを使用したり、研磨剤入りのスポンジやスチールウールなどは使用しません。
真鍮は、手入れが簡単なこともメリットの一つです。変色や黒ずみ緑青ができることを怖がらずに普段使いし、正しい手入れでながく愛用しましょう。
真鍮製品は丈夫で扱いやすい!
真鍮製品は手入れをしながら大切に扱えば長い期間ずっと使い続けることができます。
真鍮ライフを楽しもう!
私の周りでは、真鍮の使われている製品は、意外とたくさんあります。ドアノブや額縁の四隅に補強でついている金具。ペーパーウェイトやネックレス、食器やカトラリー、ベルトのバックルが真鍮の物もありました。仏壇でお参りする際にちーんちーんと鳴らす「おりん」も真鍮でした。あなたの周りにも、きっと真鍮はあります。
真鍮は少しずつ経過とともに古色に染まっていきながら、変わらずに生活に溶け込んでいます。今回発見した真鍮の知識を元に、時々手入れをし、その色味や質感、重みを感じて行きましょう。