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升酒の飲み方の6の手順|升から直接飲む時の3つのたしなみ

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升酒とは

升で飲む日本酒を「升酒」と呼びます。升酒に使われる升は、本来は、米や酒の量をはかるための、言ってみれば「計量カップ」です。実際、昔は、領主が年貢の徴収などを行うとき、米の量をはかるために使用されていました。

升酒は、元々は計量カップだった升を酒器として使ったもので、現在、升酒に使われる升は大抵の場合、1合(180ml)が入る大きさです。

升の種類

升酒に使われる升というと、みなさんは、どんなものを思い浮かべるでしょうか。パッとイメージするのは、木目を生かした木製のものでしょう。確かに、よく見かけるのは、木でできた升です。

しかし、祝いの席で使われるものにしろ、飲食店で出されるものにしろ、現在、一般的に使用されている升には、2つの種類があることをご存知でしょうか。

木升

木製の升のことを「木升」と呼びます。ヒノキ、スギ、モミなどの木材が使用されているのが一般的ですが、いずれにしても、日本酒を口に含むとき、木の清々しい香りが鼻を抜け、日本酒の味を引き立ててくれます。

木升は、接着剤などは使われおらず、木を組んでつくられています。これには「木を合わせる」から「(複数の人が)気を合わせる」の意味合いが込められています。木升が結婚式など慶事に使われるのは、このためです。

塗升

全体に漆が塗られたタイプの升が「塗升」です。素材には、たいていの場合、プラスチックが使われています。木升に比べてメンテナスも楽で、劣化もしにくいため、長期間使うことが可能です。

この塗升は、外側が黒、内側が赤に塗られたものが一般的ですが、その逆もありますし、いろいろな絵が描かれているものもあり、塗升のデザインはさまざまです。いずれにしても、素朴な木升に対し、塗升は華やかさが特徴と言えるでしょう。

升酒の飲み方の手順6つ

升で日本酒を飲むという升酒の習慣は日本独特のスタイルです。角打(立ち飲み屋)などでも出されるくらいですから、決して気取ったものではありません。

でも、だからこそ、飲み方の流儀を知っておきたいとは思いませんか。厳格なルールがあるわけではありません。でも、だからこそ、飲み方の正しい手順を心得、さりげなく、スマートな飲み方をしてください。 気取る必要はないけれど、そのほうが、かっこいいとは思いませんか。

手順1:グラスいっぱいにお酒を注ぐ

升酒は、升の中に小さなグラスを置き、そこにまず日本酒を並々と注ぎます。この場合、「注ぐ」と言うより、「注いでもらう」と言ったほうが適切でしょうか。

居酒屋などでは、店の人が目の前で日本酒をグラスに注いでくれますから、表面張力でこぼれる限界まで注いでもらいましょう。店の人をうまくおだてれば、グラスからあふれるほどの日本酒を注いでもらえる可能性もあります。

手順2:グラスを持たず口をつけて飲む

今にもあふれんばかりに(あふれている場合もあります)グラスに注がれた日本酒は、まず、そのままで、ズズッとすするように飲みましょう。日本の食事は、器を持つのがマナーですが、この場合は例外で、グラスを持たず、まず、グラスに口をつけて飲みのが升酒の作法です。
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手順3:グラスを手に取って飲む

手順2で、グラスを持ち上げても日本酒がこぼれない程度に飲んだら、次は、グラスを手に持って普通に飲みます。せっかく升酒をたしなんでいるのですから、急がず、慌てず、ゆっくり味わいながらいただきましょう。

片方の手にグラス、もう片方の手に升を持つ人もいますが、升はテーブルに置いておくほうがスマートな印象です。

手順4:升の外にグラスを置く

手順3で、ゆっくり日本酒を飲んでいるときは、グラスは、ときどき升の中に戻しますが、グラスのお酒が少なくなったら、グラスをいったん升の外(つまりテーブルに直接)に置きます。

グラスの日本酒を飲み干してからでも大丈夫ですが、いずれにせよ、グラスの底は日本酒で濡れていますから、おしぼりで拭いてからテーブルに置くといいでしょう。

手順5:升のお酒をグラスに注いで飲む

最初にグラスに注いでもらったとき、あふれた日本酒が升に残っている場合は、グラスに移してから飲のが一般的です。もちろん、升から直接飲んでもOKです。厳格なルールがあるわけではないので、好きなスタイルで飲みましょう。

手順6:おかわりは升を変えずに頼む

升酒のお代わりは、升を変えないのが一般的です。お代わりをオーダーすると、店の人が一升瓶などを持って席までやって来て、最初の升の中に置いた最初のグラスに、日本酒を注いでくれます。

店によっては、あるいは、オーダーする日本酒の種類を変えた場合は、グラスだけ取り替えてもらえることもあります。

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升から直接飲む時のたしなみ3つ

街の飲み屋さんなどでは、升とグラスがセットになっている場合が多いのですが、それが決まりというわけではありません。升酒は、升から直接飲んでもOKです。木升の場合、直接飲むほうが、木の香りが楽しめるという利点もあります。好きなスタイルで飲みましょう。

厳格な決まりはありません。自由に飲んで大丈夫なのですが、升酒をより楽しむため、3つのたしなみを心得ておけば「通」な飲み方ができるでしょう。

たしなみ1:鷲掴みしない

ときどき、升を鷲掴みに持つ人を見かけます。なんとなくワイルドで、男性なら、かっこいいという印象もなきにしもあらずですが、実は、升酒の飲み方として、この持ち方はNGです。

升酒の升は、親指以外の4ほんの指で升を下から支え、親指を升のふちに掛けるようにして持つのが正解です。女性なら、もう片方の手も軽く升に添えてもいいでしょう。

たしなみ2:角から飲まない

升の角に口をつけると飲みやすい気がしますから、そのようにして飲んでいる人もいるのではないでしょうか。いかにも、クイッと飲めそうな印象です。

しかし、その飲み方は流儀に反します。升から直接飲むときは、ふちの平らな部分に口をつけ、すするように飲みましょう。軽く下唇に縁部分をつけ、ゆっくりと口中に日本酒を流し込んでいくのが、通な飲み方です。

たしなみ3:角に塩を盛る

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昔から「通な人」は、塩を肴に日本酒を飲んできました。その名残として、升の角に塩を盛るのが、升酒のたしなみのひとつです。升の角に持った塩を少しずつ舐めながら、日本酒をちびりちびりと飲りましょう。家飲みの場合なら、塩の種類を変えて飲むのも、乙ではないでしょうか。

「升酒は角から飲まない」ことは既述しましたが、実は、これは、升の角に塩を盛っておくためでもあります。

升酒で日本酒をより楽しもう

日本酒には、お酒そのものを味わうこと以外にも、グラスや猪口など、さまざまな酒器を楽しむ喜びがあります。不思議なことに、酒器が変われば、同じ日本酒でも味わいが違ってきたりします。

升も日本のバラエティ豊かな酒器のひとつです。ほかの酒器で飲む場合と、味わいがどのように違うかを比較しても、おもしろいでしょう。そして、升という酒器で升酒を楽しめるようになれば、日本酒の楽しみが、さらに広がるはずです。

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