一人暮らしの収納術｜収納に役立つ家具・収納アイデア・服の収納

実家にいた時には部屋が片付いていたけれど、今は散らかり放題で、なかなか整頓する時間が取れない…こういう悩みをお持ちの一人暮らしの方は、少なくありません。中には、生来の整理整頓好きで、いつでもきちんと片付けの行き届いた空間でないと落ち着かない、という人もいるでしょうが、一人暮らしの大多数は片付けに悩まされているということは容易に推察されます。確かに、一人暮らしのよさは、自分の好きに散らかしていても誰にも迷惑をかけない気ままさにあります。人を呼ぶ予定がなければ、片付ける必要は特にありません。

しかし、それでも一人暮らし生活に収納をしたい理由があります。それは、次の５つの理由です。

試しに、自分の部屋にあるモノの数を数えてみてください。きっと、数えきれないほどのモノに囲まれているという事実に気づかれるのではないでしょうか。　スマートフォンひとつ取っても、充電するためのコードがあり、接続するプラグがあり、延長コードがあり、と様々な付属品がついています。イヤホンを使う人も多いでしょうし、取扱説明書も大多数の人が取ってあるでしょう。どれも、スマートフォンという機器を使いこなすためには必要不可欠なものであり、「散らかるから」という理由で処分してよいものではありません。ことほど左様に、我々現代人の便利な生活は、無数の「モノ」たちに囲まれて成り立っているのです。

「食」に関わる道具、「衣」に関わる道具など、数えればキリがないほどのモノがあり、そのすべてが一人暮らしの居住空間に存在します。収納によって整理整頓をしないと、一人暮らしの生活がそれらのモノに侵食されてしまうのは、いわば当然の結果と言えるのです。

「人生がときめく片づけの魔法」という書籍がベストセラーになり、ドラマ化もされたのをご記憶の方もあるでしょう。著者の近藤麻理恵さんは、整理整頓の専門家として一躍有名になりました。特筆すべきは、彼女の活躍が日本だけにとどまらず、アメリカで翻訳出版された本もベストセラーになったことです。2015年、米TIME誌の「世界で最も影響力のある100人」にも選ばれ、その地位を確立しました。この事実は、「モノを片付ける」「収納する」ことは世界共通の問題であり、多くの人が「片付けられない」「収納できない」ことの悩まされているということを物語っています。

他にも、整理整頓術に仏教思想を取り入れ、「断捨離」という言葉を世に広めたやましたひでこさん、『「捨てる！」技術』の著書がある辰巳渚さんなど、整理・収納を専門とするアドバイザーの有名人は数多くいます。今は、「収納」が職業になる時代なのです。

上で紹介した「断捨離」は、「不要なものを見直し、なくても困らないものは思い切って捨てる」ことを推奨する考え方です。もちろん、無駄なものを処分することはある程度必要ですが、一人暮らしの場合、「何かあったとき」のことも考えておかなければなりません。防災備蓄など、緊急時にとりあえずしのがなければならないことを考慮に入れると、普段は使わないものでも、万一に備えて取っておくのも有効です。一人暮らしの人は、断捨離より、モノを収納によって整理する技術を覚える方が先決でしょう。

整理した上でやはり不要と思われるものが出てきたら、そのときに断捨離するかどうかを決めればよいと思います。

近年、「ミニマリスト」という言葉がちょっとしたブームになりました。ミニマリストとは、「モノを持たない暮らし」をよしとする考えを持つ人々を差します。モノに溢れた便利な生活を送る時代には、得てしてこういう考えが起こり、人々の共感を呼んでブームになったりするものです。

しかしミニマリズムは、まだ誕生して間もないこともあるのでしょうが、人によって主義主張がまちまちで、中には「自分の部屋すらも持たず、仮の宿(ホテル)を点々とする」などという主張もあります。平和が約束された都会生活なら、そうした暮らしも成り立つでしょうが、この考え方には、「もし再び大震災のような緊急事態が起こったら」という視点が致命的に欠けています。オシャレな片仮名で流行りだからと言って飛びつくのは早計でしょう。
地に足のついた暮らしを目指すのであれば、やはり、一人暮らしにはある程度の備えが必要です。それには、モノを収納するのが手っ取り早いです。

その上で、緊急時のこともよく考え、自分には不要と思われるものは処分すればいいのです。

あなたは、スマートフォン(もしくは携帯)を、「あれ、どこにやったっけ」と探す時間が１日のうちどれくらいありますか？　スマートフォンに限らず、色んなものを「あれ、どこにやったっけ」と探していませんか？

人が１日のうち探しものに費やす時間は、実は馬鹿にならないのです。ある調査によると、日本人は平均して１か月に76分間もの間探しものをしているそうです。また別のデータでは、ビジネスマンが探しものに費やす時間は、年間約150時間にもなるという報告もあります。これは一人暮らしかそうでないかという分け方はされていませんが、一人暮らしに限って調査したとしても、探しものをする時間は相当なものだと考えられます。

収納によってモノが片付くと、この「モノを探す時間」がかなり短縮できます。どこに何があるか分かっていて、必要なときに直ちに取り出すことが出来る状態というのは、実現してみると想像以上に便利なものです。すっきりと整頓された部屋は、動線をモノが邪魔することもないので、余計な動作も不要になります。片付かないモノによってかなりのストレスを感じながら生活していたことに、今更ながら気づくことになるでしょう。

今一度、あなたの普段の生活を振り返ってみてください。何かをしようとして、「そう言えば、あれどこにあったかな？」と探しものをすることによって中断される事態がしばしば起こっていませんか？大事なことをメモした紙をどこかにやってしまって、書類の提出日をうっかり忘れてしまったり、書類そのものを紛失して再発行の手続きを余儀なくされたり、そういう無駄を生み出してしまっていませんか？

モノを収納によって整理することで、そうした無駄をかなり省くことが出来るのです。働く一人暮らしの社会人生活は、ただでさえ忙しいもの。無駄は極力省きたいですよね。私たちの生活を便利にしてくれる多くのモノたちを整理整頓して制御し、さらに快適に過ごすためには、「収納」というスキルが不可欠であることは、以上でご理解いただけたと思います。

では、一人暮らしの部屋を、徐々に収納によって整理していきましょう。手順は、以下を参考にしてください。

一人暮らしの居住空間のあちこちにモノが散らかり、場所によっては地層を形成しているような状態であれば、やはり最初にざっくりと片付かなければなりません。いきなりまとまった時間を取るのが難しければ、動くたびに少しずつ片付けていくという方法もあります。

「30個ルール」とは、お茶を飲むためにとかトイレに行くために移動する機会があると、その度に必ず周りのものを30個片付けなければならない、というルールです。

これは人によって、15個でも20個でも、好きな数を選んでもらえばいいのですが、このルールを制定することにより、身の回りのものが目に見えて片付いていきます。適用して３日も経つ頃には、部屋の中がかなり変わってきているはずです。このやり方だと、一人暮らしでも整理整頓を続けることが出来ますし、成果が目に見えれば、さらに片付けようというモチベーションアップにも繋がりますので、方法です。

数いる収納アドバイザーの多くの人が口にするのが、「モノに居場所をあげてください」ということです。

つまり、そこら中に散らかっているモノたちは、居場所がなくてあぶれている状態なのです。きちんと「家」を与えることで、用がない場合に落ち着く場所を得ることになり、不必要に散らかることがなくなる、という理屈です。

ですので、モノたちを収納するための道具は、ある程度の数が必要になります。モノが多くて困っているのに、さらにモノが要るというのも、考えてみれば皮肉なようですが、これが現実です。

収納ボックスやケースなど、購入が必要になってきますので、ある程度の出費は止むを得ません。快適な一人暮らし生活のために必要な出費と捉え、前向きに考えましょう。

「いつになったらやるの？」とお尻を叩いてくれる人がいない一人暮らしでは、「来週やろう」「来月やろう」と後回しにしているうちに、やらないままズルズル時間だけが過ぎていく…という事態にも陥りかねません。やるならやるで、きちんと期間を決めて決行することをします。
収納アイテムを買うなら、「来月の第一土曜日まで」などと期限を決め、その週末は組み立てや片付けに当てるなどの工夫をするといいでしょう。
改造するなら、一気呵成に仕上げた方が、結果も目に見えやすいです。継続に今ひとつ自信がない、どうも飽き性だという自覚がある人は、「○月○日」と決めて、友人を招待するというのもひとつの手です。期限が決まっていれば、それまでに必ずやらざるを得ません。一人暮らしの人には方法です。

モノを片付けていく上で、「これはどうすればいいものか」と迷うモノがどうしても出てきます。実家であれば誰かに相談できますが、一人暮らしだとそうもいきませんよね。

収納アドバイザーはよく、「１年以上使っていないものは不要」と見なして処分を勧めますが、そうは言っても、そうそうすぐに「処分しよう！」と決意出来るものでもありません。迷ったときは、無理に処分しないで、「未決箱」に入れましょう。「後でもう一度考えて処遇を決める」モノたちをとりあえず収納しておくための箱です。つまりは、解決を後回しにしているだけとも言えますが、星の数ほどあるモノをこれから整理・収納していくのですから、結構なエネルギーが必要になります。いちいち決断を迫られていては、かえって作業が滞る原因となりますので、一人暮らしの部屋を一人で片づける場合、「大きな決断は後」という選択もアリです。

「未決箱」を作っておくと、「とりあえず入れておける」場所があることで安心して収納に励むことが出来ますので、決断力に自信のない人は是非取り入れてみてください。

一人暮らしの収納を進めるにあたって、「ある程度の出費はやむを得ない」と書きましたが、幸い、今は100均全盛時代。一人暮らしの収納に必要なアイテムも、かなり安上がりに手に入れることが出来ます。ありがたい時代ですね。カラーボックスや収納ケースは当然必要として、これがあると非常に便利、という一人暮らしに100均収納アイテムを以下にご紹介します。

釘を打つなど、物件を傷つける行為を禁止された賃貸住宅に住んでいる一人暮らしの人も多いでしょう。そんな人になのが、マグネットフック。玄関のドアや冷蔵庫、コンロ周りなどで威力を発揮します。500gのものから、最大10kgの荷重に耐える強力なものまであるので、様々な用途に応じて使い分けることで収納の幅を広げる便利アイテムです。一人暮らしでマグネットフックが数種類あると、かなり役に立ちますよ。

キッチンの壁やパソコンデスクなどにワイヤーラックを使えば、何もない空間が収納スペースに早変わり。マグネットフックとの合わせ技で、高さやスペースを調整出来ます。組み合わせて使える大小様々のボックスなども100均で手に入るので、使用頻度の高い道具を使いやすい位置に収納するのに役立ちます。せっかく自由な一人暮らしなのですから、自分の好きな場所に便利に配置してみてもいいと思います。

ワイヤーラックや、その他の収納アイテムと組み合わせることで、＋αの収納を生み出すことが出来る便利なアイテムです。コンロ周りのちょっとした出っ張りに引っ掛けて、鍋つかみやお玉などの見せる収納にも使えますよ。ありとあらゆる場所で地味に使えるアイテムです。

服を買うのが好き、というオシャレな一人暮らしさんは、溢れる洋服の収納に困る場合も多いことでしょう。あらゆるデッドスペースを見つけ出して、服を収納しましょう！服やタオルを、1/2か1/3の幅に畳んで、くるくる丸めて立てる収納方法は、今やすっかり定着しました。半透明のボックスに立てておさめれば、かなりのアイテムを収納することが出来ます。一人暮らしと言っても、衣服関係は相当数あるもの。ベッドの下や天袋など、使えるスペースは利用しましょう。

押入れに空いたスペースがあれば、突っ張り棒やハンガーラックによって、ミニクローゼットに変身させることが出来ます。突っ張り棒に吊るして使用するタイプの布製のラックを併用することで、マフラーやスカーフなどの小物や、バッグを収納することも出来ます。スーツのインナーに着るシャツをまとめて収納しておくと、出勤時の服装を決める時に手間取らず、時間の短縮も出来て便利ですよ。

帽子やストールなど、毎日使う小物などは、ちょっとひっかけるだけのポールを利用してもいいかもしれませんね。おしゃれな一人暮らし生活を彩るサポートアイテムになりそうです。

一人暮らしのデスク周りは、特にごちゃごちゃしがちなスペースです。自宅に仕事を持ち帰って作業する方も多いことでしょう。ペンやハサミ、カッターナイフなど、日常生活でよく使う文房具は、しまいこまずにオープンスペースで収納すると便利です。上に挙げたワイヤーラックなど活用してみてください。

また、スマートフォンの充電器始め、コードが多くなってしまうのも悩みの種ですよね。書類の整理に使うクリップやダブルクリップは、固定して使うことでコードの整理にも便利ですよ。アイディア次第でパターンは無限に広がりますので、是非マグネットなどと合わせてご使用くださいね。

一人暮らしの居住空間の中でも、最もモノが密集しやすいスペースです。ありとあらゆるデッドスペースはすべて利用してやる！くらいの勢いで取り組んでみてください。シンク下には、組み立て式のフリーラックが使えます。伸縮自在で、様々なパターンに応じて使うことが出来るため、です。ボウルや鍋などをここにしまうことで、食器棚のスペースを確保することも出来ます。一人暮らしながら、食器や箸置きなどが好きでアイテム数が多いという人もいらっしゃるでしょう。そういう人にもシステムキッチンの大きな引き出しは、意外と使い勝手が悪いもの。この大きな空間には、書類ケースなどが役立ちます。フライパンや鍋の蓋を立てて収納すれば、どこにあるのか一目で分かり、取り出すのも簡単。お皿用のラックなどと組み合わせてお使いください。

冷蔵庫の壁など、マグネットが使える場所には、ミニボックスをくっつけると、キッチンばさみやラップなどを収納することも出来ます。100均のキッチンコーナーに行って、隅から隅までチェックした後に、自分なりの一人暮らしの空間デザインを考えてみるのも楽しいかもしれませんね。です。

玄関周りのスペースが小さく、靴や傘の収納に困っている一人暮らしの方も多いのではないでしょうか。玄関こそ、マグネットの出番です。傘を綺麗に整然と収納できるマグネットホルダーが1000円以下で購入できるのですから、日本人は本当に、狭い空間を利用する術に長けていますよね。
靴箱に靴の写真を貼りつけて分かりやすく収納する方法も、オシャレ芸能人が紹介して有名になりました。箱からの出し入れが面倒なら、斜めに立てかけるだけでOKのかさばらないシューズラックもあります。構造が簡単なので、DIYも出来そうです。これなら、湿気や臭いも気にせず、お気に入りの靴を収納することが出来ますね。

収納による整理が楽しくなってくると、インテリアを意識したおしゃれな収納も考えたくなるかもしれませんね。部屋が綺麗だと、一人暮らしの生活も楽しくなるものです。収納上級者に「おしゃれな収納」のポイントを以下でお伝えしましょう。

モノをしまい込むだけが収納ではありません。収納の達人は、上手に「見せて」モノを整理しています。部屋を飾るインテリアの一部として取り入れるというアイディアです。それ自体がおしゃれなモノは、是非その外見を生かして収納してください。例えばアクセサリーなどは、ボックスに収納するよりも、コルクボードにピンで止めて、ショップのように見せる収納方法が可能です。選ぶときにも一目で分かって便利ですよね。アクセサリーや小物収納には、透明なアクリルボックスも便利です。

ワインが好きな人などは、ワインラックなどを利用して、見えるスペースに置いておくと、キッチンの空間をちょっと小粋に演出出来ますよ。その他、カップ&ソーサーやワイングラスなども、「見せる」収納に使えるおしゃれなアイテムですね。

部屋のインテリアの興味のある人ならお分かりかと思いますが、部屋の全体的なトーンを統一すると、オシャレに気を配った印象になります。ホワイトを基調にするか、ベージュや木のナチュラルなイメージにするか、モノトーンにするか、基本となるトーンを決めましょう。それに合う色味のものを選んで見せるようにすると、全体的な統一感が出て、すっきりとして見えます。
こうすると、余分なものが目立ちやすくなるので、今後片付いた状態を維持するのにもいいかもしれませんね。一人暮らしの方にはです。

私たちの生活は、気づかないうちに、多くのモノに支えられて成り立っています。断捨離やミニマリストといったストイックな生活をするのもアリですが、やはり便利な生活を楽しみたいですよね。そうであれば、やはり収納によって溢れるモノたちを制御しなければなりません。モノに占領され、かえって不便になってしまうのは、本末転倒とも言えますね。ご紹介した収納グッズや収納アイディアなどを参考に、是非便利で快適な一人暮らし生活をお過ごしください。