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似てるけど違う!『介護老人保健施設』と『介護老人福祉施設』
老健は「介護老人保健施設」、特養は「介護老人福祉施設」が正式名称です。非常に似ているため、介護従事者でも混同しやすくなっています。介護施設はどれも同じではなく、いくつも種類があり、それぞれに目的や入所の対象となる明確な基準が存在するため、誰でも希望すれば好きな施設に入居できるわけではありません。
まずは、介護施設の代表格である老健と特養の特徴や、入所の対象となる条件についてご紹介します。
まずは、介護施設の代表格である老健と特養の特徴や、入所の対象となる条件についてご紹介します。
老健はどういう施設?
老健の運営の主体となるのは、医療法人や社会福祉法人です。医療法人が関わっていることからも分かる通り、医療サービスを受けられるのが大きな特徴です。病気や怪我の回復期にある高齢者が、病院での入院加療は必要としないものの、家庭や日常生活に戻るには不安が残る場合に、リハビリを目的として入所します。
医療と介護の両面からサポートを受けることができるため、高齢者本人や家族には安心の施設です。しかし、リハビリを目的としている以上、同じ老健に留まり続けることはできず、3か月ごとの審査を受けなければなりません。退所となった場合は、自宅での介護を選択するか、別の老健を探す必要があります。
医療と介護の両面からサポートを受けることができるため、高齢者本人や家族には安心の施設です。しかし、リハビリを目的としている以上、同じ老健に留まり続けることはできず、3か月ごとの審査を受けなければなりません。退所となった場合は、自宅での介護を選択するか、別の老健を探す必要があります。
特養はどういう施設?
特養の運営主体は社会福祉法人や自治体です。健康には問題ないけれど、寝たきりや進行した認知症などにより、一人で生活することが困難で、また家族が十分な介護ができない時に入所できます。また、家族から虐待を受けている場合に、緊急措置として保護入所が行われることもあります。
老健と違い、治療やリハビリを目的としないため、充実した医療サービスを期待することはできません。その代わり、特養では介護度の高い高齢者を優先的に受け入れているので、より手厚い介護を受けることが可能です。入所期間に制限はなく、原則として終身型の施設です。よって、特養が終の住処となる高齢者も大勢います。
老健と違い、治療やリハビリを目的としないため、充実した医療サービスを期待することはできません。その代わり、特養では介護度の高い高齢者を優先的に受け入れているので、より手厚い介護を受けることが可能です。入所期間に制限はなく、原則として終身型の施設です。よって、特養が終の住処となる高齢者も大勢います。
老健と特養に職員の差はあるの?
医療ケアを必要とする老健と、介護に比重を置いた特養では、当然勤務する職員の職種にも違いが出ます。老健と特養ではどんな差があるのか、比較しながら見ていきましょう。
老健に医師と看護師はいる?
家族にとって、万が一体調が急変した場合、対応してもらえるかどうかは安心材料の一つです。医療ケアを行う老健では、施設を統括する施設長は、医師免許を所持していなければなりません。老健で生活している間は、この施設長である医師がかかりつけ医となります。
必ずしも常駐しているわけではありませんが、病院と併設している場合も多く、何かあればすぐ駆け付けられる体制になっています。また、看護師も100人規模の施設では、9人の配置が義務付けられているなど、介護施設の中で最も医療従事者の数が多いです。
必ずしも常駐しているわけではありませんが、病院と併設している場合も多く、何かあればすぐ駆け付けられる体制になっています。また、看護師も100人規模の施設では、9人の配置が義務付けられているなど、介護施設の中で最も医療従事者の数が多いです。
特養にも医師と看護師はいる
介護サービスをメインに据えている特養にも医師と看護師はいます。その多くは、非常勤の形をとっていて、看護師も人員基準では、100人規模の施設で3人の配置と、老健と比べると医療従事者の数は少ないです。
しかし、嘱託医が定期的に往診をして、看護師が日頃から健康管理を行っているので、両者の連携により、ある程度異変に気付くことはできるため、特養だからといって不安に思う必要はありません。
しかし、嘱託医が定期的に往診をして、看護師が日頃から健康管理を行っているので、両者の連携により、ある程度異変に気付くことはできるため、特養だからといって不安に思う必要はありません。
作業療法士や理学療法士等のリハビリ専門職
自立を目指す老健では、積極的にリハビリを行う必要があるため、リハビリ専門の職員を配置することが義務付けられています。その人が必要とするリハビリを専門家のサポートを受けながら行えます。
一方の特養では、特に配置を義務付けられてないため、在籍していないか、いても1人など少数のことが多いです。かといって、特養ではまったくリハビリをしないわけではなく、機能回復よりも現状維持を目的とした運動をすることはあります。
一方の特養では、特に配置を義務付けられてないため、在籍していないか、いても1人など少数のことが多いです。かといって、特養ではまったくリハビリをしないわけではなく、機能回復よりも現状維持を目的とした運動をすることはあります。
栄養士の存在は不可欠
栄養士は老健にも特養にもいます。高齢者にとって、食事は単なる空腹を満たすものではありません。食べることが、治療やリハビリの一環になるからです。少ししか食べられなければ、高栄養のドリンクを足したり、飲み込みが悪い場合は形状を工夫することで、食事の面から利用者を強力にサポートします。
娯楽の少ない施設の暮らしの中で、食べることを楽しみにしている高齢者は非常に多く、予算に気を配りながら、美味しくて栄養バランスに優れた献立作りを行う栄養士の存在は、介護の現場に不可欠です。
娯楽の少ない施設の暮らしの中で、食べることを楽しみにしている高齢者は非常に多く、予算に気を配りながら、美味しくて栄養バランスに優れた献立作りを行う栄養士の存在は、介護の現場に不可欠です。
特養と老健の費用の差は?
介護にかかる費用は一時的なものではなく、ずっと継続して必要となるため介護問題最大の関心事です。老健と特養で、費用に違いはあるのでしょうか。
老健にかかる費用は?
老健には、入所一時金は必要ありません。月々の費用はおよそ8万円~13万円が相場です。健康上の問題で、より複雑な医療ケアを必要としたり、より多くリハビリを行う必要がある場合は、費用が加算されていくので、高額となるケースもあります。
居室の種類によって料金が高くなるため、なるべく費用を抑えたい場合は、大部屋を利用するのがですが、その分プライバシーが保証されないというデメリットもあります。本人や家族の所得が少ない場合は、施設や担当のケアマネージャーに相談することで、減免を受けられる可能性があります。
居室の種類によって料金が高くなるため、なるべく費用を抑えたい場合は、大部屋を利用するのがですが、その分プライバシーが保証されないというデメリットもあります。本人や家族の所得が少ない場合は、施設や担当のケアマネージャーに相談することで、減免を受けられる可能性があります。
特養にかかる費用は?
特養も初期費用はかからず、月々の費用は4万円~10万円を相場としていて、老健よりも安くなっている場合が多いです。しかし、介護度が高く、手厚い介護を必要とするほど、負担する費用は増えます。
本人や家族の所得が少ない場合に、減免が受けられる点も同じですが、一時的な出費と割り切ることもできる老健とは違い、特養の場合年単位で利用する可能性が高くなります。減免や控除は積極的に利用し、途中で無理が生じないようにしましょう。
居室によって費用に差が出るのは老健と同じですが、介護度と居室の種類で費用が異なります。介護度1で多床室を選択するのが最も安く、介護度5で個室を選択した場合が最も高くなります。
本人や家族の所得が少ない場合に、減免が受けられる点も同じですが、一時的な出費と割り切ることもできる老健とは違い、特養の場合年単位で利用する可能性が高くなります。減免や控除は積極的に利用し、途中で無理が生じないようにしましょう。
居室によって費用に差が出るのは老健と同じですが、介護度と居室の種類で費用が異なります。介護度1で多床室を選択するのが最も安く、介護度5で個室を選択した場合が最も高くなります。
色んな施設やサービスを選択肢に加えよう
介護施設は、老健や特養以外にもあります。どんな施設があり、どんな場合に利用できるか知っておくことで、より本人や家族の意向に沿った介護を実現することができるのです。ここでは、介護施設の種類や利用の条件をご紹介します。
デイサービス(通所介護)
デイサービスは、入所の形をとらずに自宅から通う施設です。職員による送迎が行われているため、一人暮らしで移動手段のない高齢者でも利用することができます。日中は、職員のサポートを受けながら入浴や食事をします。
要支援1から利用できるため、介護予防の観点からリハビリを行ったり、塗り絵やカラオケをしたり、散歩や宿泊を伴う遠出をすることもあります。介護プランや利用の頻度によって料金は異なります。
要支援1から利用できるため、介護予防の観点からリハビリを行ったり、塗り絵やカラオケをしたり、散歩や宿泊を伴う遠出をすることもあります。介護プランや利用の頻度によって料金は異なります。
有料老人ホーム
住宅型老人ホームの場合、施設により異なりますが、60歳以上を入居の条件にしていることが多いです。そのため、介護を必要としない段階から入居することができます。しかし、住宅の提供のみで、介護サービスを提供していない施設では、自分で新たに外部のサービスと契約して介護を受けなければなりません。
一方、介護付き有料老人ホームは、入所している施設のスタッフから介護サービスを受けることができます。要支援から入所できるため、デイサービスと併設されている施設が増えました。費用は月々10万円台~30万円ほどとまちまちです。
一方、介護付き有料老人ホームは、入所している施設のスタッフから介護サービスを受けることができます。要支援から入所できるため、デイサービスと併設されている施設が増えました。費用は月々10万円台~30万円ほどとまちまちです。
グループホーム
グループホームとは、認知症のある高齢者を対象にした施設です。1ユニット5~9人と少人数で構成され、料理や掃除を行うなど、家庭的な雰囲気の中で生活することができます。費用は入所一時金がかからない場合と、数百万円かかる場合とがあります。
地域密着型のサービスのため、日本全国から応募が可能な他の施設と違い、希望する施設の所在地に住民票を置いている必要があります。
地域密着型のサービスのため、日本全国から応募が可能な他の施設と違い、希望する施設の所在地に住民票を置いている必要があります。
訪問介護
訪問介護は、一人暮らしの高齢者も、家族と暮らす高齢者も必要とする介護をポイント的に提供してもらうことができます。料理や洗濯などの家事を代行してもらったり、買い物をお願いしたりとより生活に即したサービスです。排せつ介助や食事介助などの基本的な身体介護以外にも、入浴や看護などを提供している事業所もあります。
介護サービスは複合的に利用することができる
ケアプランによっては、複数のデイサービスに通うことも、デイサービスを通いながら訪問介護を利用することも可能です。家族の仕事や冠婚葬祭などにより介護が行えない時は、特養や老健で、一時的に宿泊を含む介護を受けられる「ショートステイ」も選択肢としてあります。
より良い介護サービスを受けるためには、様々な施設を知り、制度を知らなければなりません。介護を取り巻く環境は日々変化していきます。上手に生活の中に介護を取り入れるためには、常に情報収集が必要です。
より良い介護サービスを受けるためには、様々な施設を知り、制度を知らなければなりません。介護を取り巻く環境は日々変化していきます。上手に生活の中に介護を取り入れるためには、常に情報収集が必要です。
介護はいずれ訪れる未来
[no_toc]超高齢化社会の日本では、全人口に占める65歳以上の高齢者の割合が4分の1を超え、今後も増加傾向にあります。介護は、生きている限りいずれは誰もが直面する問題です。「その時」がいつ来てもいいように、日頃から備えておきましょう。