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万年筆の手入れ方法|手入れの頻度・漆器の手入れ方法

更新日:2020年08月28日

万年筆は長く使い続けることができるペンであり、その使用度によって味が深まるものでもあります。好んで使用する人も多く、社会人や勉学という段階にある人にプレゼントされることもあります。長く使う物には手入れが欠かせませんが、万年筆の正しい手入れ方法を知っていますか。

万年筆の手入れ方法|手入れの頻度・漆器の手入れ方法

万年筆の手入れはどのくらいの頻度で行うと良い?

万年筆のルーツになったと言われているペンは、紀元前2400年頃のものとされる葦ペンで、葦の先を削ったペンにカーポンを付けて、文字や絵を描いていたと考えられています。現代で用いられるインキ(インク)の原料もカーポンなので、万年筆は人の知能が生み出した古き良きペンということが分かります。

現代では、万年筆といってもさまざまなタイプが存在するため、手入れの方法がメーカーや素材によって若干違うことがあります。それでも、基本的な手入れ知識は同じです。例えば手入れを行う頻度ですが、いずれの素材でも1ヶ月に1度の手入れが勧められています。また、インキに配慮した手入れでの注意点に関しては素材やメーカーを問わず全万年筆に共通します。

万年筆は、使い続けるほどに味が出るペンと言われています。万年筆という名前の通り、万年使用できるほどの優れたペンであり、長く使うほど使用者のクセが万年筆に表れてきます。万年筆は、使用者のことが分かる一品でもあり、長く使い続けることができるために愛着を持っている人も多いとされます。

万年筆を勉学に励む人へのプレゼントに用いられたり社会人として所有する人も多く、もちろん好きだから所有していると言う人もいるでしょう。いずれにしても、長く使い続けることができる物ですから大切に扱いましょう。大切に扱う一環として、定期的な手入れを行います。最低でも、1ヶ月に1度は手入れを行うと味が深くなるほど長く使い続けられます。

万年筆の手入れを行う際に気を付けることは?

万年筆の手入れを1ヶ月に1度は行っていたとしても、手入れ時の注意点を忘れては万年筆の劣化を早めてしまいます。万年筆の手入れでは、基本的に水洗いが行われます。そのため、乾燥をしっかりさせないといけません。万年筆の内部に水気が残ってしまうと、インキ漏れが起きます。また、ペン先の構造に水気が残るとインキの色が薄くなってしまう可能性があります。

インキに関してはもう1つ、注意点があります。万年筆の手入れを行う時に、インキは補充ではなく交換してください。インキが残っている状態で新しいインキを足すと、違う質のインキが混ざることになるためペンの品質としてあまり好ましくありません。ある程度万年筆に慣れている人であれば扱えることもありますが、基本としてインクは交換することが勧められています。

タイプ別で違う?万年筆の手入れ方法

万年筆には、様々なタイプがあると言いましたが、各タイプによって手入れ方法はどのように違うのでしょうか。メーカーによって同じタイプでも、万年筆の構造や手入れ方法に違いがみられるため、取扱説明書がある場合はそちらを第一の参考にすることをします。そのことを踏まえた上で参考程度に、タイプ別で万年筆の手入れ方法をご紹介します。

木軸

木軸とは、簡単に言えば持つところが木製のペンです。万年筆は金属製が中心ですが、木軸タイプもがあります。木軸タイプは、インキが染み付かないようにコーディングを施すことが一般的で、大体は油やワックスによるコーディングがされています。このコーティングは、使用年月が経過するごとに効果がなくなってくるため、自分でコーティングし直す人が多いです。

コーティングに用いられるアイテムには、いくつかの種類があります。蜜蝋・ラナパー・クルミ油・専用の布・その他ワックスや油類等があり、最も便利なのは拭くように使用するだけで良い専用の布です。蝋を染み込ませてある布で、多くは万年筆用ではなくパイプなどの金属品ようですが、木軸タイプの万年筆をコーティングする道具としても役立ちます。

蜜蝋は昔から用いられている自然由来の軟らかなワックスで、ラナパーは革製品に用いられることが多いワックスです。クルミ油は食用にもできますが、さらっとしており使いやすいことが特徴です。ラナパーは変化が早く、クルミ油は木の色味が若干深くなります。この中でがあるのはクルミ油で、扱いやすい質感が簡単なコーティングにつながっています。

注意点としては、べたっと塗り付けないことです。油やワックスを塗り過ぎると乾燥が不十分になったり、触り心地や見た感じが悪くなることがあります。また、浸透するとひび割れの原因にもなります。あくまで、コーティング(表面に塗る)手入れなので、油やワックスの使用量には注意しましょう。

一番手軽なコーティング方法は、頭髪用ツバキアブラを用いることです。この油を1滴だけ不織布(眼鏡吹き)に伸ばし、木軸を拭きます。残った油は拭き取って完了です。

頭髪用ツバキアブラを用いたコーティングは、月に2回のペースで行うことが勧められているので、他の油(ワックス)の方法でも万年筆の使用頻度に合わせて、月1回~2回のコーティング手入れを行うと良いでしょう。

プラチナ

プラチナの万年筆には、特別な手入れというものがありません。ただ、万年筆は使用を続けるにつれてインキのカスが溜まってくるので、次第に書きにくくなったりインキの出が悪くなってきます。月に1度くらいのペースでペン先の水洗いを行うと、インキのカスによって書きにくくなるリスクを軽減することができます。

インキの出が悪くなる状態を通り過ぎて書けなくなってしまった場合は、ペン先を1日水に浸しておきます。ペン先からインキの色が出なくなるまで水に浸すこと、水で洗うことを続けると、再び書けるようになります。書けなくなった時は水洗いの前に、インキ量の確認から始めてください。インキがあるのに書けない場合は、水洗いしましょう。

シルバー製(スターリングシルバー)

シルバー製または、スターリングシルバー製の軸を持つ万年筆では、シルバー部分を綺麗にするという手入れが行われます。シルバーは空気中に存在する硫黄によって、表面に硫化銀を生成する特性を持つため、使用せずとも軸が黒ずんでくることがあります。もちろん、使用している方が人の手垢なども混ざるので、より黒ずみやすくなります。

シルバー製の手入れでは硫化銀を取り除くために、銀磨きクロスやシルバーポリッシュを使用します。なのは銀磨きクロスで、クロスは布のことなのでシルバーを傷付けません。一方のポリッシュは研磨もできるアイテムなので、軸に柄が施されている万年筆に使用すると致命傷になりかねません。ポリッシュを使用の際は、とにかく優しくを意識しましょう。

また、シルバーを表面に貼っているタイプ(銀張り・銀メッキ・シルバープレート)に対して磨く行為はNGです。はがれてしまいます。英語でSILVER ELECTROPLATEDなどと表記されているシルバー製も磨いてはいけません。銀磨き布は製品によって磨き度が異なるため、優しい素材の中からいろいろ試してみると良いでしょう。

漆器

漆器とは漆が塗ってある器物のことで、万年筆でも漆塗りの製品があります。漆器は急激な温度変化・極度な乾燥・強い湿気を嫌うため手入れが面倒と思われがちですが、すごい大変ということはありません。水に浸け置きできないため、台所用中性洗剤を付けたやわらかいスポンジで洗浄します。自然乾燥は避け、やわらかい布やティッシュで水気を吹き取ります。

台所用中性洗剤を使用するとなると、他の食器類と一緒に洗ってしまいそうになりますが、それはNGです。漆は、他の陶器と比べて繊細な性質を持つため、漆素材は単体で洗うことをします。また、食器洗浄機や乾燥機では洗浄・乾燥できません。漆器は、正しい手入れおよび管理によって、その光沢が護られます。

キャップレス

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初回公開日:2017年10月06日

記載されている内容は2017年10月06日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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