すじこといくらの違い|作り方/値段/保存方法/味/栄養
更新日:2020年08月28日
すじこといくらの違い|作り方/値段/保存方法/味/栄養
たらこやキャビア、数の子など文化の東西問わず、魚卵を食材として使用する例は多く見受けられます。その中でも特に親しみのある魚卵食材のひとつに、いくらとすじこがあげられます。同じ魚から取れる卵なのにどうして呼び方が違うのだろうか、と疑問を持っている方もいることでしょう。そんないくらとすじこの違いについて解説します。
すじこといくらの違い
いくらとすじこの原料は、どちらも同じサケやマスの卵になります。サケやマスのお腹をを割いて卵を取り出す際は、卵巣膜に包まれた塊の状態となっています。その卵塊を、ひと粒ひと粒バラバラにしたものがいくら、卵塊の状態でそのまま取り出したものがすじこという事になります。
そのため取り出し方にも違いがあり、いくらはひと粒づつ取り出すのに対し、すじこは卵巣ごと取り出します。その手間の違いは価格にもあらわれ、いくらはすじこに比べて倍ぐらいの値段となっているのが一般的です。
また、ひと粒ずつの大きさで見た場合、いくらの方が粒が大きく、すじこの方が小さい粒となっています。これは、いくらが成熟して孵化直前の卵を使用するのに対し、すじこは成熟前の未熟な卵巣を使っていることにも関係があります。ひと粒ひと粒に栄養が行きわたっているかそうでないかという点が、いくらとすじこの粒の大きさの違いとなっています。
語源
すじこの語源は、塊で卵が筋のようになっていることが由来となっています。また、取れる魚から別称が違ってくる場合があり、白鮭のすじこを鮭子、紅鮭のすじこを紅子、マスのすじこを鱒子と呼ばれることもあります。
いくらという言葉の語源はロシア語で、「魚の卵」とか「小さくてつぶつぶしたもの」という意味になります。極端な例ですと、たらこもキャビアもいくらと呼び、実際に、日露戦争時代にキャビアの代用品としてロシア人が口にしていました。
また、粒状にばらした鮭の卵を指して、ロシア人が「いくら」と呼んでいるのを聞き、それをいくらと呼ぶものと勘違いいたため、という説もあります。実際にはすじこと区別するのに都合が良かったから、という説もあります。
魚の種類
スーパーマーケットなどで市販されているすじこの多くは、紅鮭あるいはカラフトマスの卵巣になります。特に紅鮭の卵は粒がとても小さく、いくらへ加工するには不向きなため、そのほとんどがすじこへ加工されます。カラフトマスの成熟した卵はいくらへと加工されることはありますが、市販されることはあまりなく、回転寿司のネタとして使用されます。
いくらとして市販されているものには、白鮭や鱒、キングサーモンといった種類の魚が一般的ですが、日本でいくらと言えば、秋鮭(白鮭)の卵に限って指す場合が多く見受けられます。白鮭の卵はいくらに加工した方が高く売れるため、そのほとんどがいくらとして加工されます。いくらにできない未熟な白鮭の卵はすじことして加工されますが、多くは出回りません。
旬の時期
回遊魚であるサケの漁が日本で解禁となるのは、8月後半から9月初めの時期となります。そのため、未熟な状態の卵を楽しむすじこの場合は、解禁直後の8月後半から9月初めが旬の時期となります。産地ではその時期に生すじこも出回ることがあるので、自家製のすじこの塩漬けを作る場合は探してみるのも良いでしょう。
いくらの場合は、たまごが成熟した状態になることを待つ必要があるため、漁解禁直後よりもしばらくの時間経過が必要となります。産地によって成熟する時期の差はありますが、10月くらいがいくらの旬の時期とされています。
近年、いくらはスーパーマーケットなどで通年販売されていますが、その時期に産地で水揚げされ加工されたばかりのいくらを楽しむのも、また格別です。
価格
漁獲量の違いによる価格の変動があるため、はっきりとした数字は言いにくいのですが、目安としては、いくらはすじこの倍の価格というのが一般的になります。これは、卵巣ごと取り出して加工するすじこに対して、ひと粒ずつ取り出して加工するいくらの手間の差が、そのまま価格の差となって現われているためです。
安価にいくらを楽しみたい場合は、生すじこを購入し、いくらの醤油漬けを自家製で作るという方法がです。
すじこといくらの作り方の違い
すじこといくらを加工する場合、その適した加工法にはどのような方法があるのでしょうか。ここでは、味付け方法からみた加工の仕方別に解説します。
醤油漬け
おもにいくらを加工する場合に使用される方法が醤油漬けになります。卵巣膜に包まれて塊の状態となったサケやマスの卵をひと粒ずつにばらし、醤油と酒、みりんを混ぜ合わせた調味液に漬け込む加工方法になります。
醤油、酒、みりんの比率は1:1:1とも3:1:1とも言われていますが、自家製の場合、調味液の味を見ながら自分好みの味付けにしていく方法がです。昆布や白だしをアクセントとして少し加えるのもです。
粒がひとつひとつばらけており、調味液の調合具合によって味の濃い薄いも加減できるため、いろいろな料理への対応が可能となります。軍艦巻きでお寿司のネタとしていただくもよし、いくら丼としていただくもよし、あるいは一品料理のアクセントとしてのトッピングに使ってもよし、とバリエーションも豊富です。
塩漬け
初回公開日:2018年03月26日
記載されている内容は2018年03月26日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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