酒精強化ワインとは|4大酒精強化ワインの種類と特徴
更新日:2022年04月11日
酒精強化ワインとは
酒精とはアルコールのことで、アルコール度数が高められたワインです。具体的に酒精強化ワインとは、醸造途中でアルコールを添加して酵母の働きを停止させたワインです。香り付けのためのスパイスやハーブを含むアルコールを添加するワインもありますが、これはフレーバードワインと呼ばれ酒精強化ワインには含まれません。
気温の高い地域や輸出用などで、温度管理が難しいワインに対して保存性を高めるために行われています。
通常のワインとの違い
通常のワインとの直接的な違いはアルコール度数です。通常のワインが10~14%程度に対し、酒精強化ワインは18%程度のアルコール度数があります。添加されるアルコールとして、ワインと同じくブドウを原料とするブランデーが良く使われるため、ブランデー由来の風味も持ちます。
アルコールを加えるタイミングで甘口や辛口をコントロールできるため、非常に甘いワインがある事も特徴です。
4大酒精強化ワイン
酒精強化ワインは世界中で作られていますが、特にスペインの「シェリー」、ポルトガルの「ポートワイン」「マデイラワイン」、イタリアの「マルサラワイン」が有名でこれらは特に4大酒精強化ワインと呼ばれています。
これら、特に有名な4大酒精強化ワインについて、それぞれの特徴や種類などをご紹介します。
その1:シェリー
スペイン・アンダルシア州カディス県ヘレス・デ・ラ・フロンテーラとその周辺の地域で生産される酒精強化ワインです。名称に規制があり、この地域で栽培されたブドウを利用し、この地域の醸造所で製造された酒精強化ワインだけが「シェリー」を名乗ることを許されています。
非常に数多くの種類と製法を持つことでも有名で、詳しくご紹介する事はできませんが、大まかな種類と特長についてご紹介します。
種類と特徴
シェリーには甘口と辛口があり、食前酒として飲まれることの多い日本や、暑いスペインでは辛口が好まれています。味の傾向としては、ナッツ類や木の樽を思わせる香りが特徴ですが、味わいについては重厚なものも軽快なものもあります。
シェリーで甘口のペドロ・ヒメネスは乾燥させて糖分を凝縮したブドウを利用するため、世界のワインでも最も甘い物の一つとされています。
その2:マデイラワイン
ポルトガル領のマデイラ島で造られている酒精強化ワインです。マデイラワインは公的な管理機関により産地やブドウの品種、熟成期間などが定められており、むやみに酒精強化ワインがマデイラワインを名乗る事はできません。
ソレラ・システムと呼ばれる特徴的な発酵方法が使われていましたが、ポルトガルのEU加盟に伴いソレラ・システムのメリットがなくなったため、現在ではあまり使われていません。
種類と特徴
マデイラワインにもさまざまな種類があるため全てを紹介する事はできません。通常のワインと同じく、辛口から甘口までさまざまなマデイラワインがあります。糖分をアルコールへと変える発酵途中で、酒精を添加し発酵を止めることから甘みのあるワインが多く、エストゥファという加熱処理による特有の風味も持ちます。
多くの場合は、さまざまなフルーツの香りや、キャラメルの香り、こげた砂糖の香りや樽の香りがあります。
その3:ポートワイン
ポルトガル北部ポルト港から出荷される特産の酒精強化ワインです。船積みにして輸出されるワインは温度管理が難しく、品質が悪くなりがちです。そのため、ワインにブランデーを加えアルコール度数を20%程度まで高めて品質を安定化させてあります。
ポルトガル北部を流れるドウロ川上流にあるアルト・ドウロ地区で生産と熟成が行われた酒精強化ワインのみがポートワインを名乗ることができます。
初回公開日:2018年09月21日
記載されている内容は2018年09月21日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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