今から貯める老後に必要な資金・生活に最低限必要な資金
更新日:2020年08月28日
老後は大丈夫?今から貯めたい老後に必要な資金
60歳以降の平均寿命はどのくらい?
平均寿命だけでなく、平均余命も年々延び、60歳以降の男性平均寿命は82.84歳、女性は88.37歳まで生きるという統計が出ています。一般的に定年退職年齢は60歳とされているので、男性は約23年、女性は平均29年もの間を今までに貯蓄してきた資金や国から支給される年金などで過ごすことになります。
夫が83歳、妻が89歳まで生きると仮定し、最低限の生活を営むためには24万円/月、ややゆとりある生活を営むためには30万円/月が必要とすると、最低限生活では8,352万円、ゆとり生活では10,440万円の資金を確保しなければなりません。
しかし、今現在の状況では年金が7,000万円程支給される見込みとされているので、不足分は最低限生活で1,352万円、ゆとり生活で3,440万円と試算できます。
老後に必要となるお金の目安はどのくらい?
老後に限らず、どの世代にも必要なお金として挙げられるのは、食費などの生きていくために最低限必要な費用である「基本生活費」、家賃やローン・維持補修費・固定資産税などの住まいにかかる「住居費」です。
しかし、高齢者の場合、若い世代よりもウェイトが大きくなる費用は、病気やケガの際に必要になる治療である「医療費」や介護が必要になった際にかかる「介護費用」なので、それらの分も多く見積もっておく必要があります。
これらを見積もった上で、「いくらくらいの収入が見込めるか」や「余裕を持つ場合にはいくらぐらい上乗せして試算するか」を考え、生活設計することが大切です。
居住費にかかるお金の内訳
老後の期間が男性は約23年、女性が約29年という統計に基づき、男女平均を25年と仮定した場合の居住費に必要となる資金について見ていきます。
■家と土地を所有する場合
必要資金:固定資産税・都市計画税・家屋の修繕費用
固定資産税・都市計画税:土地・家屋合わせて20万円/年(一般平均値)
修繕費用:200万円/10年(2回/25年で2回)
持家の場合の老後に必要な住居費:20万円×25年+200万円×2回=900万円
■分譲マンションの場合
必要資金:固定資産税・都市計画税・管理費・修繕積立金
固定資産税・都市計画税:土地・家屋合わせて15万円/年(一般平均値)
管理費・修繕積立金:3万円/月×12ヶ月(一般平均値)
マンションの場合の老後に必要な住居費 :15万円×25年+3万円×12ヶ月×25年 =1,275万円
■賃貸住宅に住む場合
必要資金:家賃(8万円/月)・更新料(16万円/回・12回/25年)
賃貸住宅の場合に必要な住居費=8万円×12ヶ月×25年+20万円×12回=2,592万円
■高齢者施設に住む場合
高齢者向け施設(有料老人ホームなど)の入所料金や利用料は選ぶ施設や健康状態、要介護度によって金額が大幅に異なります。有料老人ホームの場合、入居時に支払う「入居一時金」は数百万円~1億円以上の施設があり、毎月支払う「利用料」もまた入居一時金のように大きく異なります。この利用料は食費、水道光熱費、管理費などが含まれる場合がほとんどで、医療費や介護費は別途支払うことになります。
必要資金:利用料(20万円/月)・入居一時金(2,000万円)
高齢者住宅の場合の老後に必要な住居費:20万円×12ヶ月×25年+2,000万円=8,000万円
医療にかかるお金の内訳
年齢を重ねるほどに身体に不具合が生じるリスクが高くなり、医療費として出費する金額が増えることを避けるのは難しくなります。厚生労働省が発表した「平成22年度 医療費の動向」の結果によると、70歳以上の医療費は79.3万円/年で、約6.6万円/月というデータが出ています。
この金額は、医療機関が行った患者への医療行為に対する費用なので、患者が実際に負担するのは70歳以上の場合1割(高所得者は3割)となるので、7.93万円/年~23.8万円/年で、0.66万円/付き~1.98万円/月の負担額となります。
また「高額療養費制度」により、毎月の窓口負担上限が決められています。一般の70歳以上の場合であれば、外来だけの場合は1.2万円/月、入院がある場合は4.4万円/月とされ、この金額をを超えて支払った場合はその超過分が還付される仕組みになっています。
ただし、差額ベット代、保険適用外診療および治療、食費や水道光熱費などは高額療養費による還付対象外となります。
介護にかかるお金の内訳
介護が必要になった場合の介護費用は、実に莫大な金額に膨れ上がります。世帯主または配偶者が要介護状態となった場合、平均して17.2万円/月が必要になると言われています。その内訳はヘルパーに介護を依頼した場合の人件費、介護用品の購入や貸与、入居施設の利用やバリアフリーのための住宅改修費など多岐にわたり、必要なものの分だけ支出も増えていきます。
しかし、これらの支出があった場合、条件を満たせば給付金を得られるのが「介護保険制度」で、40歳を過ぎると支払う介護保険料が重要になります。ただし、この給付には要介護レベルによって上限が設定され、その超過分は全額自己負担となりますので、確認が必要となります。
高齢夫婦無職世帯の家計収支シミュレーション
では、退職後の生活費として必要とする金額を「家計調査報告 平成27年平均速報結果の概況」に基づき、高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻65歳以上の夫婦のみの無職世帯)の家計収支をシミュレーションしてみます。
・収入:21万3379円(社会保障給付:19万4874円)
・消費支出:24万3864円
・非消費支出:3万1842円
・収入-支出:-6万2326円
社会保障給付=公的年金などとした場合、毎月の公的年金だけで不足する金額は「社会保障給付-消費支出-非消費支出=19万4874万円-24万3864円-3万1842円=ー8万832円」という試算になります。退職後に必要な最低生活資金の詳細は後述しますが、老後25年間で必要な資金は約2,425万円という計算となってきます。
老後資金の平均貯蓄金額は?
老後資金の必要性がイメージできない人が多いため、現役で働いている世代の老後資金の貯蓄金額は意外と低いのが現状です。「老後資金を用意していない:34.3%」、「老後資金が500万円未満:15.1%」、「老後資金が1,000万円未満:8.8%」、「老後資金が2,000万円未満:10.4%」、「老後資金が3,000万円未満:4.8%」に留まるというデータがあるほど、老後資金の貯蓄を意識していない人がほとんどです。
また、勤務先を退職するまでに用意する老後資金の予定金額は、「用意しない予定:18.4%」、「500万円未満:5.9%」、「1,000万円未満:6.6%」、「2,000万円未満:9.4%」、「3,000万円未満:8.0%」という結果に留まっています。
老後資金として必要だと言われている3,000万円以上の資金を用意できる見込みのある人は、14.7%しかいない現状です。
老後を豊かに暮らすための資金の貯め方
初回公開日:2017年10月24日
記載されている内容は2017年10月24日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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