種類別の溶接の方法と特徴・溶接の欠陥や不良の種類|強度/割れ
更新日:2020年03月10日
セルフシールドアーク溶接
セルフシールドアーク溶接とは、アーク溶接の種類の1つで、ガスシールドアーク溶接とは異なり、アークや溶着金属を大気から遮断(シールド)するシールドガスを外部から供給しないで行う、アーク溶接の種類です。セルフシールドアーク溶接は、外部からシールドガスを供給しない代わりに、フラックス入りワイヤーを使用します。
フラックスワイヤーとは、筒状になっていて、金属外皮の内部にアーク安定剤、脱酸剤、スラグ形成剤、金属粉末などが充てんされている溶接ワイヤーの事です。風に強い事が特徴で、屋外溶接にも適しています。
サブマージアーク溶接
サブマージアーク溶接とは、アーク溶接の種類の1つで、粒状のフラックス(融剤)と溶接ワイヤーを使用します。溶接線上にあらかじめ粒状のフラックスを散布しておいて、その中に溶接ワイヤーを自動的に送り込み、溶接ワイヤーと母材の間でアークから生じるアーク熱で溶接をする方法です。
自動溶接法として代表的といわれているもので、他の溶接方法に比べて溶着速度が非常に高く、アーク光の発生もほとんどなく、風の影響も受けにくい長所がありますが、設備費用も高くなる特徴があります。
プラズマ溶接
プラズマ溶接とは、TIG溶接と同じように電極にタングステン棒を使用する、非消耗電極式アーク溶接の種類です。TIG溶接は、電極から直接母材にアークを移行させるのに対して、プラズマ溶接は、水冷インサートチップの孔を通過させて母材に移行させます。これによって、ウォール効果およびサーマルピンチ効果を受けてエネルギー密度の高いアーク溶接になります。
長所としては、TIG溶接よりも幅が狭く、熱影響が少なく溶接変形や歪みが減少する特徴があります。短所は、消耗部品やガス消費量がTIG溶接よりも多くなるため、コストが高くなります。
エレクトロスラグ溶接
エレクトロスラグ溶接とは、電導性スラグに電流を通じて高温を発生させ、スラグ中に連続的に溶接棒を供給し、母材と共に溶接する溶接方法の種類です。溶接部を銅金で囲いながら連続的に溶接を行うため、厚板の突合わせの縦なみ溶接に用いる事が多く、溶接部を水平にできない大型の化学プラントやタンク、大型船などの溶接に使われる事が多いため、設備は大掛かりとなります。
電子ビーム溶接
電子ビーム溶接とは、真空中で溶接を行う種類でフィラメントを加熱する事によって放出される熱電子を利用した方法です。特徴として、真空中で溶接を行う事により、気体分子などによるビーム拡散を防ぎ、ビームエネルギーがほぼ100%溶接部品に伝わります。
真空での溶接であるため、酸化の影響がなく、シールドガスなどを利用しても溶接が難しいチタンやタングステン、タンタルなどの活性金属も溶接が容易になります。デメリットとしては、蒸気圧の差により、材料組成の変化が生じやすく、真空チャンバー内に金属蒸気が付着するため掃除が必要となります。
テルミット溶接
テルミット溶接とは、溶接継目の種類の1つで、酸化金属とアルミニウム間の脱酸反応を溶接に応用した種類です。テルミット溶接の特徴は、溶接作業が比較的単純であるため、技術の習得が他の種類に比べると容易であり、電力を必要としません。また、作業時間が比較的短く、器具が軽量である事から、設備費が安く機動性があります。
強度の違いは?
たくさんある種類の中で、大切になるのが強度の違いですが、溶接をする材料の成分や性質によって、溶接方法は変わってきます。また、溶接中の入熱量や冷却するスピードの関係によっても、溶接の強度は変わってきます。
溶接する材料にあった方法で正しく溶接する事によって美しく、強度も高くなっていくため、どの種類の方法で作業をすれば1番強度が高くなるとは言えません。強度を高めるためにも、材料にあった溶接方法を選ぶ事が大切です。
溶接の種類別の使い分け方は?
溶接にはたくさんの種類がありますが、使い分け方としては、作業をする現場の環境によって使い分ける事も大切です。屋外で作業するのであれば、風に影響を受けにくいセルフシールドアーク溶接やサブマージアーク溶接などの方法を選ぶと良いです。
電気がなく、引火の心配がない場所であれば、ガス溶接をおすすめします。作業場所に電気があるのならばアーク溶接、スピードを求めるのであれば自動溶接を選ぶなど、作業する環境によって使い分ける事をおすすめします。
溶接ワイヤーの種類は?
溶接ワイヤーとは、アーク溶接に用いられるコイル状の溶接材料の事です。基本的には、「ソリッドワイヤー」と「フラックス入りワイヤー」の2種類が使われていて、溶接したい材料によって使い分ける必要があります。
初回公開日:2018年03月14日
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