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2018年03月14日

種類別の溶接の方法と特徴・溶接の欠陥や不良の種類|強度/割れ

工場の中で火花を散らしながら作業している人達は、溶接という作業をしています。最近ではテレビでも取り上げられる事も多く、「現場女子」という言葉も出てくるほど、密かに物作りの現場は人気を増しています。溶接の技術とはどのような技術なのかご紹介します。

種類別の溶接の方法と特徴・溶接の欠陥や不良の種類|強度/割れ

溶接とは?

溶接とは、金属を溶かして接合する技術の事です。溶接したい部分に何らかの方法で、熱を加える事で金属が溶け、溶けた部分が一体化し大気で冷やされて、その後すぐに凝固します。熱を加える工程では、溶接機を使用しますが、一口に溶接と言っても目的に応じて溶接機を選ぶ事が重要です。

溶接には、ガス溶接やアーク溶接、TIGなどたくさんの種類があります。溶接を行う上で必要となる溶接機は、工場で使われているような工業用や産業用というイメージが強いですが、最近では家庭で自分好みの物を作る「DIY」が流行していて、家庭用溶接機もたくさん市販されています。

【種類別】溶接の方法と特徴は?

溶接の方法には、「圧接」「ろう接」「融接」があります。圧接とは、加熱した金属に圧力を加えて接合する方法です。圧接は、通常母材を溶かさないでそのまま接合する方法で、溶接する材料によって圧接する方法が違ってきます。

ろう接とは、母材をほとんど溶かさないため、薄板や精密部品の接合ができる事が特徴です。ろう接には、「ろう付」と「はんだ付」があり、溶加材の融点が450℃以下がはんだ付、それ以上をろう付と言います。ろうを溶かすための加熱手段には、可燃性ガスなどを使用する事が多く、電気機器の配線などと結合するには「はんだ付」が有名です。

融接とは、接合する母材を局部的に溶融して結合し、凝固させる方法です。造船や建築、自動車など多くの分野で幅広く利用されています。高熱を加えて接合するため、材質が変化・変形あるいは溶接欠陥が生じやすい事があるため、いろいろな溶接方法が実用化されています。

溶接の方法には違いがあるのか?

溶接は、金属を溶かして接合する技術ですが、溶接の方法にはたくさんの種類があります。たくさんの種類がある中で、どの方法を選ぶかは、溶接をする現場の環境によって変わってきたり、溶接をする材料によっても変わってきます。いろいろな種類の溶接方法がある中で、よく使われている溶接方法を見ていきます。

ガス溶接

ガス溶接とは、可燃性ガスと酸素が結び付いて、燃焼する時に発生する熱を利用して金属の接合を行う溶接方法の種類です。溶接する時に使用する可燃性ガスは、アセチレン、水素、プロパン、ブタンなどのLPガスやメタンガス、石炭ガス、都市ガスなどの種類があり、金属が溶けるまでの時間が長い事が特徴です。

メリットとして、金属が溶けるまでの時間が長い分、溶接する部分をゆっくりと確認しながら作業をする事ができるため、ミスを減らす事ができて、溶接不良も起きにくくなります。ガス溶接は、溶接初心者でも扱いやすい種類ですが、可燃性ガスは衝撃や高温で爆発が起きやすいため、溶接時の取り扱いには注意する必要があります。

アーク溶接

アーク溶接の「アーク」とは、簡単に言うと電気の事です。アーク溶接は空気中の放電現象を利用し、電気の力を使って金属同士を溶接します。溶接棒と呼ばれている2本の棒を使用し電気を発生させ、溶接したい部分に当てると電流が飛び始め、電流の熱によって金属を溶かし溶接をする方法の種類です。アーク溶接は、自動車や船舶、航空機、建築物、建設機械などいろいろな金属構造物に広く使われています。

アーク溶接中は、激しい光や高温が発生します。激しい光から目を保護するためには、ゴーグルなどを使用する事をおすすめします。また、放電現象を利用して行う溶接方法なので、電気が伝わりやすい場所で作業する時は、必ず防電装置を使い床が濡れていたり、油で汚れている所では行わない事が注意点です。

被覆アーク溶接

被覆アーク溶接とは、被覆剤を塗布している溶接棒と母材との間に、アークを発生させて行う溶接方法の種類です。金属の棒(心線)に被覆と呼ばれるスラックスや保護材などを巻いた溶接棒を電極として、母材との間にアークを発生させます。

被覆アーク溶接に用いる溶接棒の被覆剤は湿気に弱いため、乾燥した場所で保管する事が大切です。アーク溶接と同じように、作業中は激しい光が出ます。溶接の光から目や皮膚を守ってくれる溶接遮光面を付けたり、火花からの火傷をしないように、防護服を着用するなど注意する必要があります。

ティグ(TIG)溶接

ティグ(TIG)溶接とは、電気を用いたアーク溶接方法の種類で、TIGとはTungsten Inert Gasの略です。タングステンの融点は金属の中で最も高く、作業が長時間にわたっても高温に耐え続ける事ができます。安定したアークを出す事ができるので、入熱の調整が容易にでき、薄板や複雑な形状など、精密さが要求される溶接を行うことが可能です。

TIG溶接は火花が飛び散らず、ステンレスやアルミ、鉄などほとんどすべての金属が溶接できます。他の種類の溶接方法の中でもTIG溶接は見た目が美しく、1.0㎜以下の薄板溶接などにも適しています。

TIG溶接中に材料に空気が入ると、溶接部分に欠陥が起き、見た目も悪くなってしまうため、主にアルゴンガス(不活性ガス)という他の物質と化学反応を極めて起こしにくい安全なガスを材料に吹き付け、空気が入らないようにする事が大切です。

アークスタッド溶接

アークスタッド溶接とは、スタッドと呼ばれるピンやねじなどを専用ガンに取り付け、母材に押し付けてアークを発生させて行う溶接の種類です。アークスタッド溶接のメリットは、一瞬でスタッドと母材が溶接されるため、熱影響が非常に少なく済む所です。

溶接棒を使用せず、溶接用のガンを母材に押し付けるだけなので簡単そうですが、押し付ける時に母材に対して平行になっていないと上手く溶接できなかったり、スタッドが斜めに溶接されてしまう事があります。

ガスシールドアーク溶接

ガスシールドアーク溶接とは、Gas Metal Arc WeldingでGMAWまたは、GMA溶接とも呼ばれています。ガスで溶接面を空気から遮断(シールド)しつつ溶接を行うアーク溶接の種類です。電流によって発生するアーク放電の熱を利用し、高温となった金属が酸素と反応しながら酸化するのを防ぐために、不活性ガスを噴射しながら行います。

使用されるガスには、アルゴンガスやヘリウムガスといった不活性ガスや、二酸化炭素の混合ガスなどがあります。作業する時は換気が必要で、風のある環境で作業する時は、シールドガスが吹き飛ばされてしまうため、安定した溶接品質が望めない事があります。

セルフシールドアーク溶接

セルフシールドアーク溶接とは、アーク溶接の種類の1つで、ガスシールドアーク溶接とは異なり、アークや溶着金属を大気から遮断(シールド)するシールドガスを外部から供給しないで行う、アーク溶接の種類です。セルフシールドアーク溶接は、外部からシールドガスを供給しない代わりに、フラックス入りワイヤーを使用します。

フラックスワイヤーとは、筒状になっていて、金属外皮の内部にアーク安定剤、脱酸剤、スラグ形成剤、金属粉末などが充てんされている溶接ワイヤーの事です。風に強い事が特徴で、屋外溶接にも適しています。

サブマージアーク溶接

サブマージアーク溶接とは、アーク溶接の種類の1つで、粒状のフラックス(融剤)と溶接ワイヤーを使用します。溶接線上にあらかじめ粒状のフラックスを散布しておいて、その中に溶接ワイヤーを自動的に送り込み、溶接ワイヤーと母材の間でアークから生じるアーク熱で溶接をする方法です。

自動溶接法として最も代表的なもので、他の溶接方法に比べて溶着速度が非常に高く、アーク光の発生もほとんどなく、風の影響も受けにくい長所がありますが、設備費用も高くなる特徴があります。

プラズマ溶接

プラズマ溶接とは、TIG溶接と同じように電極にタングステン棒を使用する、非消耗電極式アーク溶接の種類です。TIG溶接は、電極から直接母材にアークを移行させるのに対して、プラズマ溶接は、水冷インサートチップの孔を通過させて母材に移行させます。これによって、ウォール効果およびサーマルピンチ効果を受けてエネルギー密度の高いアーク溶接になります。

長所としては、TIG溶接よりも幅が狭く、熱影響が少なく溶接変形や歪みが減少する特徴があります。短所は、消耗部品やガス消費量がTIG溶接よりも多くなるため、コストが高くなります。

エレクトロスラグ溶接

エレクトロスラグ溶接とは、電導性スラグに電流を通じて高温を発生させ、スラグ中に連続的に溶接棒を供給し、母材と共に溶接する溶接方法の種類です。溶接部を銅金で囲いながら連続的に溶接を行うため、厚板の突合わせの縦なみ溶接に用いる事が多く、溶接部を水平にできない大型の化学プラントやタンク、大型船などの溶接に使われる事が多いため、設備は大掛かりとなります。

電子ビーム溶接

電子ビーム溶接とは、真空中で溶接を行う種類でフェラメントを加熱する事によって放出される熱電子を利用した方法です。特徴として、真空中で溶接を行う事により、気体分子などによるビーム拡散を防ぎ、ビームエネルギーがほぼ100%溶接部品に伝わります。

真空での溶接であるため、酸化の影響がなく、シールドガスなどを利用しても溶接が難しいチタンやタングステン、タンタルなどの活性金属も溶接が容易になります。デメリットとしては、蒸気圧の差により、材料組成の変化が生じやすく、真空チャンバー内に金属蒸気が付着するため掃除が必要となります。

テルミット溶接

テルミット溶接とは、溶接継目の種類の1つで、酸化金属とアルミニウム間の脱酸反応を溶接に応用した種類です。テルミット溶接の特徴は、溶接作業が比較的単純であるため、技術の習得が他の種類に比べると容易であり、電力を必要としません。また、作業時間が比較的短く、器具が軽量である事から、設備費が安く機動性があります。

強度の違いは?

たくさんある種類の中で、大切になるのが強度の違いですが、溶接をする材料の成分や性質によって、溶接方法は変わってきます。また、溶接中の入熱量や冷却するスピードの関係によっても、溶接の強度は変わってきます。

溶接する材料にあった方法で正しく溶接する事によって美しく、強度も高くなっていくため、どの種類の方法で作業をすれば1番強度が高くなるとは言えません。強度を高めるためにも、材料にあった溶接方法を選ぶ事が大切です。

溶接の種類別の使い分け方は?

溶接にはたくさんの種類がありますが、使い分け方としては、作業をする現場の環境によって使い分ける事も大切です。屋外で作業するのであれば、風に影響を受けにくいセルフシールドアーク溶接やサブマージアーク溶接などの方法を選ぶと良いです。

電気がなく、引火の心配がない場所であれば、ガス溶接をおすすめします。作業場所に電気があるのであればアーク溶接、スピードを求めるのであれば自動溶接を選ぶなど、作業する環境によって使い分ける事をおすすめします。

溶接ワイヤーの種類は?

溶接ワイヤーとは、アーク溶接に用いられるコイル状の溶接材料の事です。基本的には、「ソリッドワイヤー」と「フラックス入りワイヤー」の2種類が使われていて、溶接したい材料によって使い分ける必要があります。

ソリッドワイヤー

ソリッドワイヤーは、日本では最もメジャーなワイヤーで、被覆アーク溶接棒に比べて能率が良く、自動化で容易で半自動溶接の他に、ロボット溶接などでも使用されています。フラックス入りワイヤーよりも比較的ヒュームが少なく、価格も安くなっています。ソリッドワイヤーは主に、ミグMIG溶接(Metal Inert Gas welding)に用いられており、ミグ溶接とは、主にアルミやステンレスを溶接する方法です。

フラックス入りワイヤー

フラックス入りワイヤーとは、フラックスを内包したワイヤーの事で、アーク安定剤やスラグ形成剤、合金剤などいろいろな成分からできています。フラックス入りワイヤーは主に2種類が一般的に使われており、「スラグ系(スチール系)」と「メタル系」です。

スラグ系(スチール系)は、酸化チタンをベースにしたフラックスで、メタル系は鉄粉を多く含有し、スラグ形成剤をほとんど含まないフラックスです。主にマグMAG溶接(Metal Active Gas welding)に使用され、マグ溶接とは主に鉄(銅鉄)を溶接する方法です。ソリッドワイヤーよりもビード形成や外観が美しく仕上がる特徴がありますが、価格はやや高めです。

溶接の欠陥・不良の種類は?

溶接という作業をしていく上で、時に欠陥や不良が出る事があります。欠陥や不漁になってしまう事には原因があり、それによっていろいろな種類の欠陥があるため、どんな種類があるのか見ていきます。

内部欠陥

内部欠陥の種類としては、ブローホール(溶接金属内にガスが残留したために空洞が生じもの)、スラグ巻込(スラグが溶接金属内に残留するもの)、融合不良(溶接金属と母材または溶接金属と溶接金属が融着していないもの)、溶込不良(溶接金属がルート面に達しなく、開先の一部がそのまま残ったもの)、割れなどがあります。

表面欠陥

表面欠陥の種類としては、目違い過大や外観粗悪(過度な凹凸)、のど厚不足、ピット(ビードの表面に生じた小さなくぼみ穴)、オーバーラップ(溶接金属が母材に融合しないで重なったもの)、アンダーカット(母材の表面と溶接金属の表面と接する部分に生じる溝)、割れなどがあります。

割れ

割れの種類は、高温割れとは溶接中および冷却中の高温度域で発生する割れの事です。低温割れとは200~300℃以下の温度域で発生する割れの事で、拡散性水素の作用によるものは、溶接後しばらく時間が経過してから発生する事が多く、溶接遅れ割れと呼ばれる事もあります。再加熱割れは、溶接後熱処理中に生じる割れで、一般的には溶接割れに含まれます。

溶接の免許の種類は?

種類別の溶接の方法と特徴・溶接の欠陥や不良の種類|強度/割れ

溶接は金属製品を扱っている工場では欠かせない技術です。一言で溶接と言っても、いろいろな種類があり、それに伴って資格もたくさんあります。これから初めて溶接を行いたい方におすすめなのが、「ガス溶接技能者」と「アーク溶接作業者」です。

溶接経験が1年程度ならば、「アルミニウム溶接作業者」や「PC工法溶接技能者」などでスキルアップするのもおすすめです。実務経験が3年以上ならば、難易度は上がりますが、「ボイラー溶接工」や「溶接管理技能者」「溶接作業指導者」がおすすめです。

溶接試験はどんなもの?

試験には、筆記試験だけのものや、実技試験も行うものがあります。一般的な溶接で、アーク溶接の試験とガス溶接の試験について見ていきます。

アーク溶接の試験

アーク溶接の試験には、「アーク溶接特別教育講習」を受講し、修了証を得る事が条件となります。学科は11時間、実技は10時間の受講経験を必要とし、学科は、アーク溶接等に関する知識、アーク溶接装置に関する知識、アーク溶接の作業に関する知識、関係する法令などが試験範囲となり、実技は、溶接機器の取り扱いや実際の溶接技術、作業方法を見られます。

ガス溶接の試験

ガス溶接の試験は、「ガス溶接技能講習」という物があり、学科と実技があります。この試験を取ると、可燃性ガスと酸素を使用した金属の溶接や、加熱などの作業の資格が取れるようになります。

溶接作業に使用する遮光ガラスの種類は?

遮光ガラスとは、溶接作業中に発生する有害な光から目を保護するために使用する物です。作業中に発生する光は、「アーク光」と呼ばれ、直接光を見てしまうと、眼球にダメージが与えられ、白内障や網膜障害などを引き起こす可能性があるため、溶接作業中は必ず遮光ゴーグルを使用します。保護レベルは11段階あり、光の強さによって適したゴーグルを選ぶ事が大切です。

奥深い溶接の世界

私たちの生活の中にある、たくさんの電化製品や自動車などにはたくさんの溶接の技術が組み込まれています。溶接する素材や現場の環境によって、適した溶接の方法を見極め、見た目も美しい技術を施す溶接作業員達の技術の塊と言っても過言ではありません。

最近ではテレビでよく、工場や溶接についての特集が放送されていますが、少しでも溶接の種類や方法などを知っておけば、今までよりもその技術の素晴らしさに気づくことができます。私たちが見ただけでは分からないような所に施されているような、溶接技術は私たちの生活には欠かすことのできない奥深い世界です。

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