ネジの種類(形状やサイズ等)・100均で購入できるネジ
更新日:2020年02月11日
インチネジの表示でハイフンの後に記載される数字は、1インチの長さにネジ山がいくつあるかを表しています。
形状にもいろいろな種類がある
ネジの種類を形状から分類すると、ネジ部分の形状・寸法(呼び径、外径、谷径、有効径、ピッチ、ネジ長さ)と頭部の形状(雄ネジについて)の組み合わせになります。
ネジ部分の形状・寸法は、規定された寸法をアルファベットと数字の組合せで種類を表現し、頭部の形状は日本語で種類を表現します。例えば「M6-20 十字穴付きなべ頭」であれば、メートル並目ねじで呼び径6mm、ネジ部分の長さ20mmのプラスドライバー用なべ頭付きネジを言います。
締付け工具ごとのネジの種類は?
締付けに使用する工具による種類からして、多いものはプラスドライバーで締付ける「十字穴付き」です。
古くはマイナスドライバーで締付ける「すり割り付き」が成型が容易で多く使用されてきましたが、多数のネジを締結する生産の現場で、電動ドライバーの先端が素直にネジの中心に収まって効率的に締め付けができるプラスドライバーへシフトしており、「すり割り付き」は少なくなっています。
プラスドライバ-とマイナスドライバ-のどちらでも締付けができる「十字穴付き」で一方向の両端へ溝が貫通しているものもあります。
「六角穴付き」は、六角レンチで締付けるように作られた種類のネジで、プラスドライバーやマイナスドライバーでは締め付け時にネジ頭部と工具を滑らせて頭部を損傷する(ナメる)ことがある弊害を防ぐように開発されました。
六角レンチは穴と同サイズのものが必要で、サイズ違いのものを代用することはできません。六角穴付きネジの多くは頭部の外形が円筒状になっているところへ六角穴があけられており、キャップスクリュー(CS)とも呼ばれます。
安易に分解されることを避けるため、あるいは締付けの確実性や効率性を考慮した結果、星形穴付きや三角穴付きなど、さらに特殊な工具を使うことを想定したネジも多くなっています。
ネジ頭部分の形状の種類は?
ネジの種類を頭部の形状から大別すると、「十字穴付き」や「すり割り付き」の頭部の外形には「なべ」「丸」「皿」「丸皿」「トラス」などの種類があります。
「なべ」は、小ねじの頭部ではポピュラーな種類で、土鍋をうつ伏せにしたような形をしています。頭部の底面、すなわち座り面は平面です。
「丸」は、「なべ」と似た種類ですが、土鍋の形ではなく球面で構成されています。同じく座り面は平面です。
「皿」は、頭頂部が平らで座り面が90度の円錐形になっており、締め付けられる相手部材側に同じく90度のすり鉢状のくぼみ(皿もみ加工)をつけてネジの頭部を沈み込ませるようにした種類です。ネジを締付けた面にネジ頭の突起が残らないようにすることができます。
「丸皿」は、読んで字のごとく「丸」と「皿」の組合せで、頭頂部の丸のふくらみが小さく、ネジを付けた面に若干の突起は残るものの、緩やかなものになります。
「トラス」はネジの大きさに対して頭部を大きく取った種類を言い、締結時に強く力をかけることを求められるタッピングネジなどで使われます。
六角穴付きボルトの頭部は前述のとおり円筒形です。
ネジの「山」とは?
ネジを軸の中心を通る面でカットした場合の断面図にみられる山の形状のことをネジ山と言います。JIS規格のメートルネジやユニファイネジではネジ山の頂点の角度(山を挟んだ両側の斜面のなす角度)は60度です。
インチネジの一部でウィットネジという種類は55度とされていましたが、現在はJIS規格から廃止されています。三角形の山形以外の種類では台形ネジがあり、メートル台形ネジの規格ではその角度を29度または30度と規定されています。
ネジ山の頂点から次のネジ山の頂点までの距離をピッチと言い、mm(ミリメートル)で表します。インチ系のネジの種類では1インチ(≒25.4mm)の距離の中にいくつのネジ山があるかで種類を表します。ピッチも「並目」と「細目」の種類が存在し、特に径が大きくなるとさらにピッチの種類も多くなります。
「ネジ溝」とは?
ネジ溝とは、ネジ山と逆の概念で、ネジ山とネジ山の間の谷の部分を意味します。ネジの製作工程を見ると、母材に溝を刻んでネジを形成しているのであって、母材に山を乗せるものではないため、ネジ溝の概念が重要になります。すなわち、できあがったネジの形状を表す場合はネジ山を、製作工程を語る場合はネジ溝の概念からネジをとらえることが多くなります。
ネジ溝の形状は通常はV字谷ですが、台形ネジは溝底に水平部分があります。ボールネジはボールが転動できるU字溝が刻まれ、使用されるボールがぴったり収まる寸法に作られています。
ネジの製造方法の種類は?
ネジ、特に雄ネジの製造方法から種類をとらえると、旋盤または丸駒ダイス(雄ネジを切る専用工具)で溝を刻む切削の方法と、ネジ溝を押し付けるようにローラー(転造丸ダイス)にはさんで転造する方法があります。
切削で作られたネジと転造で作られたネジでは、転造のネジの方が2割ほど強度が優れています。これは、切削でネジ溝を刻む方法は切込み線を刻むようなもので、応力が谷の部分に集中することで破断しやすくなるところを、転造では塑性加工でネジ山を転写するため、母材の金属内部の組成が切られずに、鍛造されたような粘り強さが発揮されるようになります。
ネジは既製品で対応可能なものはネジメーカーから供給される既製品を調達することが経済的かつ効率的です。しかし、軸径が大きくなったり、きわめて長尺のネジを必要とする場合や、特殊な素材で製作する場合、機械部品の一部にネジ部を形成する場合や、ピッチやネジ山の形状が特殊なものなどは、既製品ではなく単品製作で対応したほうがいいこともあります。
この場合も旋盤で正確なネジ山形状を削り出すには特殊なノウハウが必要であり、ネジ製作の転造丸ダイス用の設備はネジメーカーでない限り普通は持っていないことから、丸駒ダイスとタップで製作する場合がほとんどです。特に雌ネジ製作は、ほぼタップ一択となります。
ネジを製作する工具は?
ネジを製作する工具には、丸駒ダイスとタップがあります。
丸駒ダイスとはどんな工具?
丸駒ダイスとは、ナットの雌ネジ部分を切削刃にしたような工具で、ネジに加工する軸を丸駒ダイスにねじ込んでゆくことで軸に雄ネジを刻みます。
初回公開日:2017年11月18日
記載されている内容は2017年11月18日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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