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ポリエステルを洗濯する方法と注意点・混紡物の洗濯方法

更新日:2020年07月02日

ポリエステルは私たちにとって、とても身近な繊維です。ポリエステルや混紡素材を中心に、各種の繊維の特徴と洗濯のコツ、注意点をご紹介します。繊維ごとの特徴を生かした洗濯のやり方で、お気に入りの服をきれいに長持ちさせましょう。

ポリエステルを洗濯する方法と注意点・混紡物の洗濯方法

ポリエステルを洗濯する方法

ポリエステルを使った衣服はとても身近な存在です。ポリエステル100%の服もあれば、ポリエステルと綿やレーヨン、ナイロンなどの混紡素材もよくありますよね。お手持ちの服を何枚か見てみれば、ポリエステル製のものがあるはずです。

ポリエステルは丈夫で手軽な素材です。しかし、洗濯したら縮んでしまったり、匂いや汚れがなかなか落ちなかったりした経験はありませんか?ポリエステル素材の特徴と、洗濯する時の注意点・ポイントをご紹介します。

ポリエステルってどんな布?

ポリエステルは、アクリルと並んで広く使用されている合成繊維です。ポリエステルは高い耐久性を誇り、とても丈夫です。濡れても強度が落ちませんし、熱耐性も高く摩擦熱にも強いです。また、軽くてシワになりにくかったり、吸水性がほとんどないために速乾性に優れていたりと優れた点がたくさんあります。

熱可塑性(常温では変化しにくいが、加熱すると柔らかくなって加工しやすい性質)があるので、折り目やプリーツ加工のしてある衣服も、洗濯後でもきちんと形が残ります。虫食いやカビも起こりにくいです。また、ポリエステルはお値段が安いのも魅力です。

ポリエステルにもデメリットはあります。毛玉や静電気が起こりやすかったりする点と、汚れが落ちにくい点です。ポリエステルは汚れを吸い取る性質があるため、洗濯してもなかなか汚れが落ちにくい時があるのです。

ポリエステルはワイシャツやブラウスなど、洋服の原料に幅広く使われています。ポリエステル100%の他、綿や他の化学繊維と混紡されたものも広く出回っています。

洗濯表示を確認

ポリエステル製品、特にポリエステル100%の服を洗濯機で洗濯する時は、まずは洗濯表示を確認しましょう。市販のどの衣服にも必ずついている表示です。四角い洗濯機のマークや桶に水が入った手洗いマークがついていれば、洗濯機で洗濯ができます。その反対に桶にバツ印がついているマークだったら、洗濯機は使えません。無理に自宅で選択すると、服が傷んでしまうので注意が必要です。

洗濯機のポイント

ポリエステルは性質上、汚れが落ちにくい布地です。特に汚れのひどいものと一緒にすると、逆汚染という汚れを吸い取ってしまう現象が起きます。汚れのひどい洗濯物とは分けておきましょう。

ポリエステルの服を洗濯機に入れる前に、襟元などの汚れが気になる部分にスポット洗剤をつけ、5分ほど置いておきます。つけ置きだけで汚れが落ちない場合は、もみ洗いや歯ブラシを使ってもOKです。

洗濯機に入れる際には洗濯ネットに入れます。この時、服を裏返しておくと汚れが落ちやすいです。洗濯機のコースはドライ洗濯表示にしましょう。余計な力を加えず、薄地や飾りがたくさんついているデリケートな生地でも傷めずに洗えます。

一度離れた汚れを吸い取ってしまわないように、洗濯機の水は多めで。洗濯物もぎゅうぎゅうに詰め込まず、余裕を持って7割くらいの量で洗って下さい。

脱水・乾燥と洗濯干し

普段はシワになりにくいポリエステルですが、熱と一緒にシワをつけてしまうとなかなか取れません。洗濯機の脱水や乾燥は短めにしましょう。

ハンガーなどで干す場合は、軽くシワを伸ばしてから干します。ポリエステル自体は日光に強い素材ですが、濃い色のものは色落ち色あせしてしまうので、陰干しがおすすめです。

アイロンがけをする時は、あて布をするか、低めの温度にして下さい。ポリエステルは化学繊維としては熱に強い方ですが、綿や麻などの天然繊維に比べれば高熱に弱いです。アイロンの表示で「化繊」「ポリエステル」の適温を設定しましょう。

ポリエステルの洗濯洗剤

ポリエステル用の洗剤は、おしゃれ着用の弱アルカリ洗剤がおすすめです。ただし、洗濯表示に中性の表示があったり、ドライマークや手洗いマークがあったりする場合は、表示に従って下さい。

弱アルカリ洗剤の中でも、液体タイプがよく溶けておすすめです。弱アルカリ洗剤は粉末タイプも多いですが、溶け残りが出てしまう場合があります。その点、液体洗剤なら溶け残りの心配がありません。

ポリエステルの手洗い

薄い布や装飾がいっぱいついている繊細なポリエステル製の洋服は、洗濯機よりも手洗いが向いています。

手洗いの手順は、まず汚れのついていないきれいな洗面器や桶に、30度台のぬるまゆを用意します。次に、洗濯洗剤を入れて洗濯液を作ります。軽く畳んだ衣服を洗濯液につけ、15分ほど置きます。その後、洗濯物を泳がせるように優しく動かします。この時に強くゴシゴシとやってしまうと、しわや生地の傷みの原因になるので、注意しましょう。

軽く絞った後、洗濯機で脱水にかけます。洗濯液を入れ替えて洗い、脱水を2回繰り返します。

最後に念入りにすすぎ洗いをします。この時に柔軟剤を入れると静電気を防ぎ、きれいに仕上がります。もう一度洗濯機の脱水をして、完了です。あとは洗濯機で洗った時と同じように干して下さい。

ポリエステルを洗濯する時の注意点

ポリエステルのを上手に洗濯をするコツと注意点をご紹介します。もう一歩進んでポリエステルの性質に詳しくなれば完璧です。

縮む

ポリエステルは縮みにくい繊維です。普通に洗濯しただけでは、縮むことも型崩れもあまりありません。ポリエステルの吸水性がない性質によるものです。水をよく吸う綿などと違い、ポリエステル繊維自体に吸水性がないのでふやけず、洗濯機などの力が加わっても型くずれを起こしにくい構造になっています。

ポリエステルが縮んでしまうのは、熱を加えた場合です。ポリエステルは熱に強いと言われていますが、それは化学繊維の中での話。化学繊維の宿命で、綿など天然繊維に比べればどうしても熱に弱いのです。ですので、乾燥機やタンブラー乾燥をやりすぎると縮んでしまいます。

ポリエステルの縮みを防ぐには、できるだけ自然乾燥で干しましょう。どうしても乾燥機を使う場合は、長時間の使用は避け、短めの時間にして下さい。

しわ

ポリエステルは、しわにもなりにくい素材です。しわになりやすい綿に比べ、繊維に吸水性がなくしゃきっとしているので、洗濯後のアイロンなしですぐ着られます。アイロンの手間を省きたければ、ワイシャツやブラウスの素材はポリエステル製を選びましょう。

ポリエステルがしわになってしまう状況は、熱が関係します。ポリエステルには熱可塑性(ねつかそせい)という性質があります。熱可塑性は高温を加えた状態では柔らかくなり加工しやすくなり、常温に戻すとハリが出て加工した形を保つ性質です。ポリエステル繊維自体が熱可塑性を利用して作られています。

この性質のために、乾燥機で高温になった状態でしわがついてしまったり、アイロンで間違ってつけたしわが取れにくいということになります。熱の影響でもともとのプリーツ加工が取れてしまうこともあります。前述の縮む原因にもなりますので、ポリエステル素材はなるべく乾燥機を使わず自然乾燥で乾かしましょう。

伸びる

ポリエステルは、洗濯してもあまり伸びません。上で紹介した縮まないのと同じ理由です。ただし、ポリエステル素材でもニットであれば伸びてしまいます。普通の布地は横糸と縦糸の織地ですが、ニットは糸を編んで作った編み地のため、伸びやすいのです。ニットと言ってもセーターのようなものばかりではなく、Tシャツなどの伸縮性のある布地はすべてニットになります。トレーナーやスウェット地もニットの一種です。

衣服が伸びるのは、洗濯時の布同士の摩擦や、洗濯後に水を含んで重くなった状態で吊るして干すと、自重で垂れ下がるためです。引っ張って伸びるのと同じ原理ですね。ポリエステルは軽くて伸びにくい繊維ですが、洗濯ネットを使用したり、干す時もハンガーではなく竿に洗濯バサミや床置きで干したりすることで、伸びを防げます。

色落ち・色移り

ポリエステル100%の衣服は色落ちしやすいです。洗濯前に色落ちチェックをしてから洗うようにして下さい。

色落ちチェックのやり方は、衣服の目立たない場所に洗濯洗剤の原液をつけて行います。そのまま2~3分置いた後、洗剤をつけた場所を白い布で叩いてみます。白い布に衣服の色が移るようでしたら、他の洗濯物と一緒に洗うのはやめておきましょう。その服だけ取り分けて洗濯機で洗うか、手洗いをおすすめします。

また、ポリエステルに使われている染料は熱に弱いです。高温や蒸気でアイロンがけをすると染料が昇華し、色が薄くなってしまいます。ポリエステルをアイロンがけする場合は、温度は低め(120度~140度程度)に設定し、霧吹きや蒸気は使わないほうが無難です。

温度

何度か紹介していますが、ポリエステルは熱に弱い素材です。洗濯する時も温度の高いお湯は避け、30度台のぬるま湯を使いましょう。特にポリエステルは逆汚染(布から離れた汚れを吸収してしまう現象)が起こりやすい性質の素材です。高温のお湯だと逆汚染が起こりやすくなりますので、ぬるま湯をおすすめしています。

ポリエステルと混紡で作られた物の洗濯方法

混紡とは、異なる2種類以上の繊維を混ぜて作った糸と、それで作った布のことです。混紡を行うと、それぞれの繊維の長所と短所を補い合う効果が得られます。

代表的なポリエステルとの混紡素材と、洗濯方法についてご紹介します。

綿

天然繊維の代表選手である綿(コットン)。綿はワタの種子から取れる繊維です。真っ白な綿花を見たことがある方もいらっしゃるかもしれませんね。綿の性質は、丈夫で吸水性が高く、耐熱性に優れ、染めやすいメリットがあります。デメリットは、縮んだりしわになりやすく、一度水分を吸うとなかなか乾かなかったり、強い日光に晒されると黄ばんだり色落ちしやすい点です。

ポリエステルと逆の性質を持つ綿は、混紡することでお互いの長所を取り入れた優れた素材になります。しわになりにくく吸水性もよいといった具合です。綿とポリエステルの混紡はT/Cと呼ばれます。テトロン(ポリエステルの商品名)とコットンの頭文字です。混紡割合によって綿とポリエステルそれぞれの性質が出ます。

綿ポリエステル混紡素材の洗濯

綿ポリエステル混紡素材は洗濯しやすい素材ですので、特に気を遣わず普通に洗濯機で洗濯して大丈夫です。ただし、水洗い禁止のマークがついている場合には、その表示に従って洗濯するようにしましょう。

もし洗濯が心配な場合には、洗濯用ネットに入れて、高い温度のお湯は避けてぬるま湯で洗濯するようにしましょう。また、色の濃い服の場合は色落ちがあるときがあるので、色が他の服にうつらないように気をつけましょう。

レーヨン

レーヨンは再生繊維に分類される化学繊維です。高級素材の絹に似せて人工的に作られた繊維です。原料は木材パルプ。土に埋めると分解されて自然に還ります。そのため再生繊維と呼ばれています。

レーヨンは化学繊維の中で吸湿性と放湿性が高く、静電気も起こしにくく、熱に強い性質です。デメリットは吸水性があるためにしわになりやすく縮みやすく、水に濡れた状態では強度が大幅に下がる点です。レーヨンは水にとても弱い繊維です。レーヨンをポリエステルと混紡することで、耐久性をアップさせています。

レーヨンは性質上、水洗いがとても難しい素材です。レーヨン100%はもちろん、ポリエステルとの混紡であっても、レーヨン率が高ければはクリーニングに出すのが無難です。自宅洗いをする場合は、なるべく水につける時間を減らして手早く洗濯しましょう。

ポリウレタン

ポリウレタンはゴムのように伸縮する、ちょっと変わった化学繊維です。「スパンデックス」とも呼ばれています。単独で衣服に使われることはあまりなく、混紡してストレッチ素材になっていることが多いです。ストレッチデニムや水着、スポーツウェアなどでポリウレタン製の表示をよく見かけるはずです。よく伸び縮みする強力なストレッチ性が特徴ですが、時間の経過とともに劣化しやすい弱点があります。

ポリウレタンは水に弱い素材です。自宅で洗濯をする場合は、洗濯機は使わず、短時間の手洗いで押し洗いをしましょう。ごしごしと強く洗うと劣化を早めてしまいます。クリーニングに出すのもおすすめです。また、高熱や蒸気にも弱いのでアイロンは避けて自然乾燥させて下さい。

ナイロン

ナイロンは化学繊維の中でも古い歴史を持ちます。ナイロンは様々な組成がありますが、日本で衣料品に多く使われているのは、ナイロン6です。ナイロンの仲間にアラミド繊維もありますが、品質表示状はナイロンで統一されています。

ナイロンは摩耗に強く、高い強度を持ちます。とても頑丈なので、衣類の他、釣り糸や漁業用の網、安全ネットなどにも使われています。

ナイロンはポリエステルと同じ石油由来の化学繊維で、性質もよく似ています。どちらも丈夫で軽く、水に強く、吸水性はありません。静電気や毛玉は同じくらい発生しやすいです。ナイロンの方が伸縮性があり、ポリエステルの方が耐熱性に優れます。また、日光に対してはポリエステルの方が強いです。

ナイロンとポリエステルの混紡は、丈夫でへたりにくい素材です。

ナイロン混紡の洗濯

ナイロン混紡の衣類の洗濯も、ポリエステルと同じやり方で大丈夫です。型崩れを防ぐため洗濯ネットに入れ、30度台のぬるま湯を使い、「手洗いコース」や「ドライコース」で洗濯しましょう。乾燥機はなるべく使わず、自然乾燥がベストです。

なお、ナイロンは撥水加工がされている製品も多いです。洗濯マークを確認して下さい。洗濯OKのマークでも撥水加工のものを洗濯機で回すと、撥水効果が落ちてしまいます。また、水を通さない撥水性の素材は、洗濯機の中で排水の邪魔をして「洗濯機が暴れる」状態になってしまうことがあります。そのためナイロンの撥水素材は、手洗いが無難です。

ウール

ウールは羊の毛から取れる天然素材です。羊の種類や繊維の細さによって様々なランク付けがありますが、総じて保温性に優れ、弾力性があり型崩れしにくいです。吸湿性と放湿性が高いのでムレず、夏は涼しく冬暖かいです。熱にも強く、燃えにくい素材です。デメリットは縮んでフェルト状になってしまったり、毛玉ができやすかったり、虫食いになりやすい点です。

ウールの他の獣毛素材、アンゴラやカシミヤ、アルパカなどもおおむね同じ特徴を持っています。

ウールとポリエステルを混紡すると、丈夫でしわになりにくい素材になります。ウール・ポリエステル混紡はビジネススーツなどでよく使われています。

ウールとポリエステル混紡の洗濯

ウールは水で縮んでしまう性質があり、水洗いに向きません。ウール製品はドライマーク表示が多いはずです。ポリエステルとの混紡であれば、ウール100%よりは自宅で洗濯がしやすいです。

ウールとポリエステル混紡の洗濯は、洗濯ネットに入れ、ウール用やドライマーク洗剤を使います。洗濯コースはドライや手洗いなどの優しいもので。手洗いでつけ置きも良いでしょう。アイロンは使わず陰干しがおすすめです。

ポリエステルの洗濯術で快適ライフ!

ポリエステルを中心に各種の繊維の特徴や、洗濯のポイントをご紹介してきました。普段何気なく着ている服も、様々な素材の特徴を生かして作られています。布地と繊維に特徴に合わせた洗濯方法で、お気に入りの服をきれいに、長持ちさせて下さいね。

初回公開日:2017年09月13日

記載されている内容は2017年09月13日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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