目的別油性ペンの落とし方と用意するもの・落とせないもの
更新日:2020年08月28日
目的別油性ペンの落とし方
「壁も床も全部キャンパスなんだ」とばかりに、紙からダイナミックにはみ出してお絵かきする子供を見て「ああ、油性ペンなんて渡すんじゃなかった」なんて後悔したことありませんか。大人でも、油性ペンを使って紙に何かを書く時に、下敷きを敷かずに書いてしまうと、うっかり机にまでインクがついてしまうこともあります。子供のせいにばかりしていられません。
油性ペンは簡単に落とせないからこそとても便利な物です。油性ペンでないと書き込めない素材などもありますし、全く使わないでいるということは難しいでしょう。しかし落とすことが難しいという特性上、書き損じをしたり、うっかり汚してしまったりしたら、ショックも大きいです。今回はそんな油性ペンの目的別の落とし方についてまとめました。
そもそもなぜ油性ペンは簡単に落ちないのか
持ち物に名前を書いたり、消えて欲しくないものに書き込む時にとても便利な油性ペン。ですが、そもそもなぜ油性ペンは簡単に落とすことができないのでしょうか。
一般的な油性ペンは、アルコールなどの溶剤、顔料や染料などの着色剤、つなぎとしての樹脂そして定着剤で構成されています。定着剤は簡単にいうと、つるつるした面に書いても取れないような接着剤の役目をしています。この定着剤の上に着色料などが載っているので、油性ペンで書いたものは簡単に落とせないようになっているのです。
服についた油性ペンの落とし方
木綿、麻
木綿や麻素材の洋服に油性ペンがついた場合は、消毒用エタノールか除光液、ベンジンなどの石油系溶剤を使った落とし方がです。油性ペン汚れを落としたい部分にエタノールなどを少しずつ垂らしていきます。当て布をし、裏から叩いて当て布に油性ペンの汚れを移し取っていきます。油性ペンの汚れが落ちるまで、当て布を変えながら繰り返します。
当て布に染料を移し取っていく落とし方なので、常に新しい面が汚れに当たるようにすることが、この落とし方のポイントです。油性ペンのインクが布に溶け出さなくなったら、洗濯をしてエタノールを洗い流します。ただし、繊維に入り込んでしまった油性ペンのインク汚れは残ることがありますので、早めに対処するようにしましょう。
絹、毛などのデリケート素材
絹や毛などの素材の服にも、木綿や麻素材の服同様、ついてしまった油性ペンの汚れは、消毒用エタノールや除光液を使った落とし方で落とせます。しかし、溶剤により生地が変色する場合がありますので、目立たないところでテストをしてから使用してください。心配であれば早めにクリーニングに出すのがいいでしょう。
ポリエステル、合成繊維
先述した服飾素材と同じように、消毒用エタノールや除光液を使った落とし方で落とせます。しかし、やはり繊維に入り込んだ汚れを完全に取り除くことはできません。油性ペンで書いてしまった場合はなるべく早めに手を打ち、クリーニング店に相談することをお勧めします。
白い体操着のお下がりに名前を書き直したいので油性ペンを落としたいという場合、時間が経ってしまったものはなかなか落とすことができません。エタノールや除光液を使った落とし方で無理だった場合、最後の手段として泡で出るタイプの塩素系漂白剤を使用して落とすことができます。
しかしこれは生地を傷めてしまったり、黄色く変色してしまう場合もあるので最終手段としてください。さらに塩素系漂白剤を使用した場合は、匂いや薬剤が残らないようにしっかりと洗い流すようにしましょう。
洋服などの布地の油性ペンを落とす時の注意点は?
消毒用エタノールやベンジンなどの溶剤を使った油性ペンの汚れの落とし方では、布が変色したり繊維が傷んでしまったりということもあります。あらかじめ、目立たないところで変色や色が剥げたりなどしないかテストしてから使用すると安心です。
机についてしまった油性ペンの落とし方
木製のものの場合
プロピレングリコール類含有の除光液、もしくはエタノールを使って拭き取る落とし方が効果的です。しかし、凸凹のあるものや油性ペンの塗料が染み込んでしまっていると、完全に落としきることはできません。また、素材によってはニスがはげてしまったり、変色してしまったりするので、使用前に目立たないところでテストをしてから使用すると安心でしょう。
また、木製の家具やカトラリーの場合は食用油などで拭き取る落とし方も有効です。これならニスが剥げてしまう心配もありませんし、人体への影響もないので安心して行えます。
合板素材のものの場合
木目調の合板を使った家具は一見木製の家具のように見えますが、実は合板の上に壁紙のようなものを貼って作られたものです。シンナーやベンジンなど強い溶剤を使うと、塗装が剥げたり模様が消えてしまったりするので、エタノールや除光液を使って優しく拭き取りましょう。
汚れがしつこい場合は、エタノールなどを染み込ませたコットンなどをしばらく当てておいてから拭き取ると良いでしょう。また、油性ペンで書いてそれが乾いてしまっている場合は、その上からさらに油性ペンで塗ってからこすりとると消すこともできます。ちょっと勇気のいる方法ですが、簡単にできそうな方法です。
その他の素材の床や壁、机などに油性ペンで書いてしまった場合
ビニール素材の壁紙などの場合
ビニール素材の壁紙に油性ペンで書いてしまった時は、消毒用エタノールや除光液を使った落とし方が有効です。消毒用エタノールや除光液を染み込ませた布で汚れ部分を拭き取ります。汚れがつかなくなるまで繰り返します。また、プラスチック消しゴムをかけることでも、油性ペンの汚れの落とし方もあります。
ただし、軟質塩化ビニール、俗にいう塩ビ素材のもので、わかりやすい例では透明のテーブルクロスなどの場合は、この落とし方は使用できません。また、凸凹のある壁紙や耐溶剤性の弱いもの、染まりやすい素材のものの場合は綺麗に落としきることができません。
白い壁紙の場合
白い壁紙の場合、塩素系漂白剤の原液を綿棒などに含ませたものでこすることで落とせる場合があります。
ただし、色落ちが心配な場合はしようしないようにしてください。また、匂いも強いので、しっかりと換気をし、手荒れなどしないよう手袋をしてから使用しましょう。ただし、素材によっては黄色く変色してしまうこともあるので、目立たない場所でテストしてから使用するようにしてください。
肌についてしまった油性ペンの落とし方
手や足などに油性ペンがついた場合
油性ペン使用中に気が付いたら手に油性ペンがついていることは、よくあることですよね。そういった場合は、手洗い用石鹸を使い、ぬるま湯で洗います。落とし方のポイントはよく石鹸を泡立てること。指の指紋や爪などに入ってしまった油性ペンは落ちにくいですが、徐々に消えていきますので安心してください。
顔についてしまった場合
小さなお子さんなどは、よくわからずに油性ペンで顔に落書きしてしまうこともあるのではないでしょうか。顔だと目立つし、ゴシゴシふき取ったりするのにも抵抗がありませんか。
顔についてしまった場合の落とし方も、手や足同様に手洗い石鹸とぬるま湯が効果的です。手洗い石鹸使用後の乾燥などが気になるのであれば、メイク落としのオイルや洗顔料などをしっかりとあわ立てて、優しくぬるま湯で洗い流すようにしてください。
また、意外にも日焼け止めを使うという落とし方もあります。油性の汚れに日焼け止めの油分をなじませることで、油性ペンの汚れを拭き取ることができるのです。この場合、日焼け止めを塗布し、なじませてしばらく時間をおいて優しく拭き取り水洗いすると良いでしょう。
日焼け止めの他にハンドクリームや食用油などでも同じ効果が得られます。日焼け止めやハンドクリームなどなら、もともと肌に使うことを想定して造られたものですので安心して使うことができます。
プラスチック製のものの場合
消毒用エタノールや除光液を使った落とし方
プラスチック製のものについた油性ペンの落とし方としては、まず、消毒用エタノールを使う落とし方があります。消毒用エタノールは薬局で購入することができますが、ない場合はプロピレングリコール類含有の除光液でも落とすことができます。
消毒用エタノールや除光液を布に染み込ませ、落としたい部分を拭き取ります。布に汚れがつかなくなるまで繰り返します。
ただし、これらの溶剤を使う場合、凸凹のある素材や染まりやすい素材などは、落ちにくい場合があります。また、溶剤の影響で強度が落ちる場合があるので注意しましょう。
プラスチック消しゴムを使った落とし方
プラスチック消しゴムで、落としたい部分の油性ペンに消しゴムをかけます。意外な落とし方ですが、溶剤を使ってプラスチックの強度が落ちてしまう心配もない落とし方です。
スニーカーなどの靴
子供用スニーカーなど、お下がりで譲ったり、下の子がまた使ったりする機会は多いのではないでしょうか。そんな時、かかと部分に直に書いてしまった名前があるとちょっと人には譲りにくかったりします。
キャンパス地などの場合は、先述したエタノールなどを使うことである程度落とすことが可能です。しかし、かかと部分の樹脂部分は染料が入り込んでしまうので、なかなか落としにくいです。そんな時に使えるのが、アセトンを使った落とし方です。
スニーカーの汚れをブラシなどでしっかりと落としてから、アセトンを染み込ませたコットンなどを貼り付けてしばらく放置します。その後、貼り付けたコットンで拭き取れば、ある程度は落とすことができます。ただし、樹脂の汚れ防止のコーティングなどまで剥がれてしまうので、若干手触りが変わってしまいます。
また、アセトンはネイル用除光液にも含まれているものがありますが、純度の高いアセトンを使った方が、効果がより期待できます。
ガラス、セトモノなどの場合の落とし方
子供が窓ガラスにいたずら書きしてしまったり、自分の茶碗に名前を書こうとして失敗したりという光景、経験者も多いのではないでしょうか。ガラスや瀬戸物などに書いてしまった油性ペンの落とし方は、ほぼプラスチックと同じ落とし方で、エタノールや除光液などを使用します。
ただし、ザラザラした素焼きなどの陶器は落ちない場合があります。また、食品を入れるものの場合、溶剤を使用した落とし方を試した後は、しっかりと洗い流してから使用してください。割れ物ですので、プラスチック消しゴムでこする場合は力加減に注意しましょう。
テレビやパソコンなどの液晶画面
テレビやパソコン、スマホの液晶画面に小さな子が油性ペンで落書きしてしまった。なんてことがあると、とても焦ります。しかし、落ち着いてください。液晶画面には決して除光液やシンナー、ベンジンなどを使用してはいけません。液晶画面を傷めてしまう原因となります。
液晶画面の油性ペン汚れには、市販されているOAスプレーやOAクリーナー、エタノールを柔らかい布などに染み込ませたもので拭き取る落とし方が、最も良い落とし方です。 OAスプレーにもアルコールが使用されているので、家庭用の消毒用エタノールを使うことは問題ありません。
CDやDVD
CDやDVDのインクジェット面に、内容がわかるように油性ペンで文字を書いている方は多いのではないでしょうか。しかし、ディスクをひとつにしたり上書きする際に混乱を避けるため、必要のない文字は消したい時にも、エタノールが役に立ちます。
エタノールは先述したスマホやテレビの画面などにも使うことができ、揮発性の高さから精密機器の清掃に向いていると言われています。また、実際に中古CDショップなどでもエタノールを使用しているところもあるということです。
ラッカーやシンナーなどの溶剤ではデータ面まで侵食してしまう恐れがあり、そうなるとデータが読み込めなくなるばかりかドライブから出せないということにもなりかねないので、使用しないようにしましょう。
金属
金属類に書いてしまった油性ペンの落とし方も、プラスチックと同様の落とし方です。エタノールやプロピレングリコール含有の除光液を染み込ませた布で拭き取るという落とし方が使えます。ただし、一部アルミなどに書いてしまった油性ペンは時間が経つと色が染まってしまい、落ちないこともあります。
畳
畳についてしまった油性ペンも、エタノールや除光液を含ませた布で拭き取る落とし方で落とすことができます。湿気を嫌うので、できれば消毒用エタノールより、水分を含まない無水エタノールの方が適しています。
無水エタノールを含ませたコットンや布をしばらく汚れに当てておき、その後優しくたたくようにして拭き取ります。ただし、畳が新しい場合は多少跡が残ることがあります。
カーペットなど毛足の長い布製品についてしまった油性ペンの落とし方
カーペットはほとんどのものが水洗い不可であったり、水洗いできるものであっても大きさ的に洗濯機で洗うのが難しい場合がほとんどです。小さな汚れのために、お風呂場でつけおき洗いするのも骨が折れます。
そんなカーペットや絨毯についてしまった油性ペン汚れにも、ベンジンやエタノール、除光液を使う落とし方が有効です。毛足の長いものの場合は、溶剤を含ませた布などで叩いたりつまんだりする落とし方で油性ペン汚れを布に移していきます。
また、乳化剤やオイルを使った落とし方も使えます。ただし、その場合はヌルヌル感が残ってしまうので、固く絞ったぞうきんなどで拭き取りましょう。
ホワイトボード
ホワイトボードの油性ペンの落とし方も、消毒用エタノールや除光液が活躍してくれます。余談ですが、ホワイトボード用マーカーも油性ペンの仲間なんです。ただ、ホワイトボード用マーカーには定着剤の代わりに、剥離剤が入っているので、こすると落ちるようになっています。
また、消毒用エタノールや除光液がすぐ手元にないという場合は、プラスチック消しゴムをかけるという油性ペンの落とし方もあります。これなら、ホワイトボード用マーカーと間違って油性ペンを使ってしまった時にもすぐ対応できます。
油性ペンを落とすために用意するもの
油性ペン汚れに効果的な落とし方を試す際、素材や場所によって使うアイテムが変わってきます。落とし方や溶剤の選択を誤ると、色落ちや変色の原因となってしまうこともあります。ここからは、油性ペン汚れに効果的なアイテムとそれを使った落とし方のポイントや注意点、さらに油性ペンを落とす以外の使い道について見ていきましょう。
オイル
油分に油分を使うことで汚れを浮き上がらせて綺麗にする落とし方です。サラダ油やオリーブ油などの食用油の他に、クレンジングオイルやハンドクリーム、日焼け止めやリップクリームなどの油分を含む化粧品類も効果的です。
オイルを使用した落とし方のポイント
オイルを使用した落とし方のポイントは、油性ペンの汚れとオイルとをしっかりとなじませてから拭き取ることです。肌についてしまった油性ペンのみならず、ニスが剥げてしまう心配もないので、床や机などの油性ペン落としにも試しやすい落とし方ではないでしょうか。ただし、布や紙製の壁紙などでこの落とし方を使うと、油のシミがついてしまうこともあるので要注意です。
また、オリーブオイルなどが床に使った場合はしっかりと拭き取って滑らないようにしましょう。できれば、えごま油などの乾性のオイルで落とすと、使った後のベタつきが抑えられます。
オイルを使った落とし方の利点
木製の家具や床、カトラリーなどについた油性ペンを落とす際、オイルを使って落とすことで汚れを落とせるだけでなく、木材の艶出し効果も期待できます。
床やテーブルなどについた傷までは消えませんが、オイルを染み込ませた布で家具や床を拭くことで艶が出てきます。オイルで拭いた後は、乾拭きをしてべたつきが残らないようにしましょう。
多少塗りムラがあっても、すぐに乾拭きすることで目立たなくなります。また、先述しましたが、オリーブオイルなどの不乾性のオイルではなく、えごま油や亜麻仁油などの乾性のオイルを使うとベタつきが残りません。
乾性のオイルを使って木製家具などのメンテナンスをするときは、塗っているそばから乾いてしまうのを防ぐためにエアコンや扇風機の風が当たらないようにしてから作業しましょう。そうすることで、ムラになるのを防ぐことができます。
乳化剤
乳化剤とは
乳化剤という言葉は、耳にしたことがある方も多いでしょう。乳化剤とは、例えば水と油といったような、そのままでは混じり合わないものを均一に混ぜ合わせる働きをするものです。乳化剤はほぼ界面活性剤と同義語で、化粧品などに使われているといえばピンとくるのではないでしょうか。
口紅やクリーム、乳液など乳化剤の含まれた化粧品などを油性ペンの汚れに塗布し、なじませることで油性ペン汚れを浮かせて綺麗にするという落とし方に使えます。化粧品を使うので、お肌についてしまった油性ペン汚れにも安心して試せる落とし方です。
乳化剤を使った油性ペンの落とし方のポイント
乳化剤が含まれたものを使った落とし方では、乳化剤と油性ペンの汚れとをしっかりとなじませるのがポイントです。その後しばらく時間をおいてから優しくティッシュやコットンなどで拭き取ると、油性ペンの汚れが綺麗に落とせます。ゴシゴシしなくて良いので、お肌への負担も少なく済みます。これならお子さんが顔に盛大に落書きしてしまった時にも安心して試せそうです。
研磨剤
研磨剤とは
研磨剤は簡単にいうと、ザラザラした粒状のものが入った溶剤のことです。重曹やクリームクレンザー、ツブツブが入った歯磨き粉などをイメージすると分かりやすいです。重曹をペースト状にしたものやクリームクレンザーなどを使うことで汚れを浮かせて取っていくという油性ペン汚れの落とし方に使えます。
研磨剤を使用した落とし方のポイント
研磨剤を使用した油性ペンの落とし方のポイントは、濡らした布などに少量の研磨剤をつけてこすって汚れを浮かび上がらせたのち拭き取ることです。
重曹などを使う場合、粉のままふりかけてから濡らした布やスポンジなどでこすっても良いですが、少量の水と混ぜて程よい硬さのペースト状にしてから使うと使いやすくなります。また、マッチの頭の部分も研磨剤として使えます。マッチの頭部分を使った落とし方を試すときは、水で濡らしてからやると良いでしょう。
研磨剤を使用した落とし方の注意点
研磨剤を使用した落とし方の場合、ゴシゴシと強すぎる力でこすると傷になってしまうこともあります。こすりすぎると塗料が剥げてしまったり、傷がついてしまったりするので注意が必要です。また、重曹は人体にとっても影響の少ないものですが、肌の弱い方は肌への使用を控えたり、使用する際は手袋などをしてから試すようにしましょう。
エタノール
エタノールを使用する際の注意点
先述したように、エタノールは揮発性のある液体ですので、使用する際は換気に気をつけるようにします。保管の際には、しっかりと密閉し冷暗所に保管するようにしてください。
また、引火性があるので、火気のある場所での使用や保管をしないように気をつけてください。さらに、エタノールには脱水作用がありますので、油性ペンの汚れを落とすための長時間の使用や頻回使用、肌の弱い方は手袋などをしての使用をします。
エタノールを使えないもの
油性ペンの落とし方には、エタノールや除光液はとても有用ですが、エタノールが使えない素材もあるので注意してください。スチロール製品はエタノールでふき取ったりなどすると、白く濁ったようになることがあるので使用できません。
また、ニスが塗布されているものも、ニスが溶けてしまうことがあるので、使用しないようにしてください。革製品も、光沢がなくなることがあるので使用できません。
石油系溶剤
石油系溶剤とは
石油系溶剤と聞くとわかりにくいですが、ベンジンやアセトンという名前なら耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。このベンジンには油を溶解させる作用があります。
そのため、ココアやチョコレートといった脂肪分の多い汚れや、口紅などの油性の汚れ、油性ペンやクレヨンなどの油性の塗料汚れや、水洗いできない素材の汚れ落としに大きな効果を発揮してくれる落とし方です。
石油系溶剤を使った汚れの落とし方のポイント
ベンジンなどの石油系溶剤を使う場合は、裏側から当て布をし、表からベンジンなどを含ませたタオルや布でポンポンと叩くように油性ペンの汚れを移していくのが落とし方のポイントです。タオルや布の新しい部分が常に当たるようにしながら、汚れを移し取って行きます。
汚れが目立たなくなってきたら、ベンジンを染み込ませた綺麗な布やタオルで中心に向かって拭き取り、輪郭がわかりにくくなるようにします。その後、水洗いできるものに関しては水洗いしてよく乾燥させます。水洗いが出来ないものに関しては、そのままよく乾燥させます。
石油系溶剤は油性の汚れを落とすのにとても効果の高いものなので、あくまでも優しくが落とし方の最大のポイント。強くこすってしまう落とし方をしてしまうと、色落ちしてしまったりするので気を付けましょう。色落ちや色移りが心配な場合は、使用前に目立たない部分で色移りや色はげが起こらないかテストしてから使用してください。
また、少々慣れが必要な落とし方でもあるので、慣れないうちは汚れを落とすことばかりに集中してしまい、輪ジミになってしまうこともあります。輪郭をぼかすような落とし方をするよう心がけると良いでしょう。
石油系溶剤を使用する際の注意点
ベンジンなどの石油系溶剤を使用する油性ペンの落とし方を試す際は、できるだけ純度の高い溶剤を選ぶようにしてください。その方が、より生地を痛める心配が無くなります。また、ベンジンは揮発性の高いものですので、換気をしっかりと行い通気性の良い場所での使用を心がけてください。
タバコやマッチなどの小さな火種でも、ガスが充満した状態であれば引火してしまう可能性があります。密閉された場所で使用するとガスを吸い込んでしまい危険です。マスクなどをして使用するようにしてください。肌に触れると炎症を起こすこともあるので、手袋やメガネもしておくと安心でしょう。
石油系溶剤は油性の汚れを溶解するのにとても優れている反面、効果がとても強いために生地を傷めてしまったり輪ジミを作ってしまったりすることがあります。慣れないうちは色落ち等しても良い布地で落とし方を練習してから挑戦することをお勧めします。
また逆に、油性ペンの性質によってはシンナーやベンジンなどを使うと余計に落ちにくくなってしまうものもあるとのことですので、落とせる油性ペンかどうか、捨て布などに書いてから一度試してみたのちに使用したほうがいいでしょう。
石油系溶剤のその他の使い道
ベンジンなどの石油系溶剤は、台所の油汚れなどの頑固なものにも使うことができます。時間が経って固まってしまった油脂汚れや、油でコーティングされてしまったようなしつこい汚れでも、溶解力が強いのでしっかりと落とすことができます。実際に、工場などで使用してオイルがしつこく染み込んでしまった作業着などの洗浄にも使われているということです。
しかし台所などで使う場合、くれぐれも火気厳禁で使うよう注意しましょう。小さな火種でも引火してしまう可能性があることを忘れないように。
柑橘類の皮も有効
お子さんが触るようなところには、できれば強い薬品や匂いの強いものは使いたくないと思うのが親心です。先述したような溶剤などを使う油性ペンの落とし方の場合、使用する際に換気が必要な落とし方や、触れたり誤飲したりすると危険な溶剤があります。
できれば自然のもので子供がいても使えるものがいいという場合、柑橘類の皮を使う落とし方が効果的です。自然のもので環境にも優しく、さらにいい香りに包まれてお掃除ができると考えると、一石二鳥のアイテムです。
リモネンという成分がミソ
柑橘類の皮をよく見ると、つぶつぶした穴のようなものがあります。これは油胞とよばれるもので、この中に柑橘類の香りの成分である「リモネン」を含んだ液体が入っています。皮をぎゅっとつまんでみるとジワリと液体が出てくるのでよく分かります。
柑橘類の皮や果汁に含まれる成分である「リモネン」には、油脂を溶かす性質があります。このリモネンの作用を利用した油性ペンの落とし方があります。
落とし方はいたって簡単。柑橘類の皮を剥き、外側の果皮部分で油性ペンの汚れをこすり落とすだけです。果皮の水分が無くなってきたら新しいものに変えてください。また、取っておいた果皮を不織布の袋などに入れて軽く握りながら拭くという落とし方もあります。この落とし方だと、皮がポロポロになってカスが出たりするのを防ぐことができます。
これならお子さんと一緒に油性ペンの汚れを綺麗にすることもできます。グレープフルーツやオレンジ、レモンなどリモネンを含むほとんどの柑橘類の果皮で油性ペン汚れを落とすことができます。ただ、みかんの皮などの薄いものよりはオレンジやグレープフルーツなど、ある程度厚みのある果皮の方が使いやすいです。
柑橘類の皮を使った落とし方の注意点
柑橘類の皮はとても身近で使い易いアイテムです。しかし、この落とし方では一部のプラスチックを溶かしたり、水分を吸着し易い白木などの素材では黄色く変色してしまったりすることがあるので注意が必要です。
また、布製品などにも黄色く色移りしてしまったりするので、柑橘類の皮を使った落とし方は使用しない方が良いでしょう。使える素材が限られる落とし方ですが、窓ガラスや床などであれば、気軽に使用できるものと言えます。
また、リモネンには光毒性がありますので、リモネンが皮膚についた状態で長時間日光を浴びると、かぶれの原因になってしまいます。使用後はしっかりと手を洗い、リモネンを洗い流すようにしましょう。
また、柑橘類の皮を使った油性ペンの落とし方について、どんな柑橘類の皮でも落とすことができるのか実験しているサイトがあるので、参考になさってください。
灰
タバコの灰やお線香の灰を使った落とし方もあります。タバコの灰やお線香の灰は非常に粒子が細かいので、研磨剤の働きをします。また、灰には炭酸カリウムという成分が含まれており、これは油性ペンなどのインク汚れに非常に効果のある成分です。落とし方は、油性ペン汚れに灰をふりかけ、水で濡らした布やティッシュなどで綺麗に拭き取るという簡単な方法です。
ただしこの油性ペンの落とし方は、間違って子供が口に入れてしまったりする危険のある場所や、灰の色がついてしまうような素材に使用するのは避けましょう。
書いてしまった油性ペンを落とせないもの
いろいろな溶剤などを使って、油性ペンの落とし方を見てきましたが、残念ながら油性ペン汚れを落とすことができない素材もあります。以下に挙げるものは、油性ペンの汚れや書き損じを落とすことは難しいので覚えておくと良いでしょう。
紙
言わずもがなですが、そもそも油性ペンは紙や布に書くことを想定して作られたもの。さらに、書いたものが消えたりしないというのが油性ペンの最大の特徴です。紙の場合は油性ペンのインクが紙に染み込んでしまいます。よって残念ながら、紙に書いた油性ペンの落とし方はありません。
ゴム
ゴムについても、油性ペンの塗料が染み込んでしまうために、ゴムの油性ペン汚れの効果的な落とし方はありません。
石
石やレンガなどついてしまった油性ペンの汚れの落とし方はありません。これも紙に書いた油性ペン同様、石にインクが染み込んでしまうためです。なかなか石に油性ペンで何か書くということはないかもしれませんが、もし油性ペンで書く機会があれば落とせないことは頭に入れておいた方がいいですね。
革、合成皮革のもの
革製品や合成皮革のものについてしまった油性ペンは、上記のような落とし方を用いて落とすことができなくはないのですが、色落ちしたり光沢がなくなってしまったりすることがあります。
また、汚れを薄くすることはできても油性ペンの塗料が染み込んでしまうので、完全に汚れを取り去る落とし方はありません。カバンの中でうっかり蓋の開いた油性ペンが財布を汚してしまっても綺麗には落とせないので、重々気をつけるしかありません。
あなたが必要としている油性ペンの落とし方は見つかりましたか?
油性ペンの目的別、素材別の落とし方をみていきましたが、いかがでしたか。お探しの落とし方は見つかったでしょうか。ざっとまとめてみると、エタノールや除光液、消しゴムなど比較的身近なものを使って落とすことができることがわかりました。意外にも化粧品類に使えるアイテムがあったことにも驚きです。
また、全体的な注意点としては、変色や色はげなどを防ぐために、目立たないところでテストしてから落とすようにすると安心ということでした。
さらに、繊維質なものやザラザラしたものなど、どんなに頑張っても油性ペン汚れを完全に綺麗にする落とし方がないものもありました。油性ペン汚れに限ったことではありませんが、時間が経ってしまった汚れは落としにくくなるので、気づいたらすぐ対応するようにしてください。
しかし先述した通り、油性ペンはそもそも書いたものが落ちないことが最大の特徴です。大切な衣類や家具などにうっかり書いてしまわないよう気をつけるとともに、代表的な油性ペンの落とし方を覚えておくといざという時に焦らないで済むのではないでしょうか。無事、うっかり油性ペンで書いてしまったものが消えることを祈っています。
初回公開日:2017年11月02日
記載されている内容は2017年11月02日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。