桜餅に使われる葉っぱの種類の名前・作り方・生産地・マナー
更新日:2020年08月28日
桜餅とは?
色と香りで春を感じさせてくれる桜餅は、桜色に色づけされた餅(生地)で餡をくるんだ風流な和菓子です。餡の甘さと桜の葉っぱの塩味が丁度よいアクセントとなり飽きることが無く、また姿かたちの可愛らしさから、和菓子の中でも特にがあります。
桜餅は関東風?関西風?
塩漬けの桜の葉っぱを巻いた桜餅は、実は関東風と関西風の2種類あるのをご存知でしょうか?最近は、東日本では2種類の桜餅が店頭に並んでいるのを見かけるので、そう珍しくもなくなってきました。ここでは桜餅の関東風と関西風両方の、その違いをご説明します。
関東風<長命寺>
関東風と呼ばれる桜餅は「長命寺」と呼ばれ、皮の材料に小麦粉が使われています。水で溶いた小麦粉をクレープのように薄く焼き、できた皮で餡をくるんだシンプルな味わいの桜餅です。主に関東甲信、東北と言った東日本で親しまれています。
長命寺と呼ばれるようになった由来は諸説ありますが、その一つに、1717年(享保2年)江戸時代、隅田川沿いにある長命寺というお寺が始まりという説があります。川沿いの桜の木から落ちる葉っぱの掃除に日々頭を悩ませていた長命寺の門番の山本新六と言う人物が、桜の葉っぱを塩漬けにし、それで餅を包んだのが始まりだとか。
このことから、「長命寺」と呼ばれるようになりました。
関西風<道明寺>
関西風の桜餅は、道明寺粉という材料を使用しているため、「道明寺」と呼ばれています。道明寺粉とは、もち米を一度蒸して乾燥させてから、荒く砕いた粉の事です。これを蒸して色付けしたもので餡を包んだ、お米の食感が残るつぶつぶの皮が特徴の桜餅です。主に近畿、北陸、中国九州地方など、西日本で親しまれています。
道明寺粉の歴史は戦国時代と古く、大阪の道明寺で作っていた保存食「干飯・糒・乾飯(ほしい)」がもとになっているとの事です。干飯は炊いた米を天日で干して乾かしたもので、長期保存できる上に水やお湯でふやかして食べられるので、武士の携帯食として重宝していたそうです。やがて干飯を挽いて粉にしたものを、「道明寺粉」と呼ぶようになりました。
桜餅に使われる葉っぱの種類・品種の名前
葉っぱの種類・品種
桜餅を包むのに使われている葉っぱは、多くはオオシマザクラの葉を利用しています。オオシマザクラの葉は大きく産毛が少なく、また芳香物質である「クマリン」が多く含まれているため、オオシマザクラが使われるようになりました。
江戸時代、隅田川沿いには当時ヤマザクラが植えられていたため、長命寺の桜餅にはヤマザクラの葉が使われていたと考えられています。
香り成分「クマリン」
桜餅に移る独特の香りは生の状態の葉からは香らず、塩漬けして発酵した時に微量発生する香りで、「クマリン」という芳香成分です。
クマリンは抗酸化物質であるポリフェノールに分類される香り成分で、セリ科やマメ科、パセリや柑橘類、シナモンにも多く含まれています。バニラに似た濃厚な香りがありますが、味自体には苦みがあります。
なお、生の葉っぱから桜の香りがしない理由は、葉っぱに含まれているクマリンが「クマリン配糖体」という糖と結合した状態だからです。このクマリン配糖体は、干したり塩漬けにすることにより、クマリンに変化し香りが発生します。
クマリンの効能
初回公開日:2018年02月13日
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