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家でもできるネクタイの上手な洗い方|失敗談と対策法

更新日:2020年08月28日

ビジネスシーンに欠かせない「ネクタイ」を、ご自身で洗濯されたことはありますか。「ハードルが高い」とお思いの方も、決して少なくないことでしょう。ですがネクタイを全てクリーニング屋さんにお願いするのも大変です。洗濯のポイントを押さえたら、きっと身近になるはずです。

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ネクタイの歴史

そもそも、ネクタイって何なの?

クールビズ、という言葉がよく知られようになっても、ビジネスの大切なシーンでは、ネクタイは存在感の大きなアイテムです。そのネクタイはクロアチアが発祥だとされているのを、ご存知でしょうか。

17世紀頃の「クロアチア」の兵士たちが、いよいよ戦地へおもむくという時、愛する妻や恋人が兵士の無事と活躍の祈りを込め、兵士の首にスカーフを巻き、戦地へと送り出しました。

ルイ14世からフランス、パリで大流行

その兵士の首に巻いていたものを、ルイ14世が宮廷ファッションに取り入れたものが、フランスの粋な女性達の目にとまり、あっという間にパリで大流行したと言われています。
そのファッションはやがてイギリス、アメリカへと伝わり、現在のネクタイの形になりました。

これまで、さまざまなネクタイが登場してきたのですが、現在に残る主なものは蝶ネクタイ(ボウタイ)、アスコットタイ(礼装用)、ロングタイ(ビジネス用)などです。

話は少しそれますが、それぞれのネクタイは下記の形です。

蝶ネクタイ

蝶ネクタイは、クロアチアの兵士たちが首に巻いていた「クラバット」の結び目部分だけが、独立したものとされています。(1850年代頃)

タイプと形は、
①バタフライ
②セミバタフライ(モダンバタフライ)
③バットウイング
④ポインテッド
に分かれています。

実は蝶ネクタイの形って、ひとつだけではありませんでした。ちなみに、①~④のどれに相当するのかは、ネクタイの幅によって分類されるそうです。

アスコットタイ

アスコットタイは、結んだ時にスカーフのように見えるネクタイです。イギリスの「アスコット競馬場」にちなんで名づけられた、と言われています。

もともとはモーニング着用の際に使われていましたが、現代では「結婚式の二次会」や「パーティーシーン」におけるブラックスーツやジャケットの他、日常のスーツやジャケットに合わせるなど、フォーマルな枠だけにとどまらず着用されています。

エレガントでお洒落、上級者向けといったイメージが強そうですが、ストールやスカーフ変わりに、気楽に利用してみるのもひとつです。

ロングタイ

現代で一番、一般的でビジネスシーンでもよく使われているのが、「ロングタイ」です。このロングタイプのネクタイが普及したのは「Vゾーンの変化」によるもの、とされています。ベスト(チョッキ)の流行が下火になった時、変わりにVゾーンを「埋める」のに、この長いネクタイが適していたそうです。

ネクタイの「効果」

ネクタイの効果としては、シャツのボタンを隠して身体の縦ラインを演出してくれるので、スーツを華やかに見せる効果もあります。実はこのロングタイプのネクタイには、85とおりの結び方があるとも言われています。

実際に広く普及しているものだと、結び方は4とおりぐらいだそうですが、どんな結び方をするにしても、注意しておきたいポイントは、結び目のすぐ下にできる「ディンプル」と呼ばれる「えくぼ」のことです。

このディンプルが上手にできていると、ネクタイがきちんと結ばれている証拠と言われます。きちんと結ばれていると、キリッと「格好よく」見えます。あとは長さに気をつけて、うまく結ぶだけです。

ネクタイの「形状」

ネクタイは、生地に対して斜め45度に裁断する「バイヤス断ち」という裁断方法が取られています。生地は縦と横の糸で構成されているので、こうすると生地に「伸縮性」を持たせることができ、「結びやすくほどけにくく」なります。

しかし、このバイヤス断ちはいざ、洗うとなると「非常に型崩れしやすい」のですから、型崩れに対しては細心の注意が必要になってきます。

また、ネクタイには芯地がはいっているものがほとんどです。ですが、洗濯機など「大きな力」が加わると、変形してよれてしまうリスクがあります。一度よれてしまった芯地は、元にはもどりません、。洗濯時は、くれぐれも優しく「手洗い」が基本となります。

ネクタイを自宅で洗濯するには

胸の前に位置するネクタイは、実はとても汚れやすいです。だからといって、ひんぱんにクリーニングには出せません。時間もお金もかかるので悩ましいところです。

実は、これからご紹介する「5つ」の手順さえしっかり守れば、自宅で洗濯してもシワのないきれいなネクタイに仕上げられます。今回は、自宅にあるもの、あったらいいな、という便利グッズを含めたネクタイの洗濯術をご紹介します。

おもに週末を利用すれば、クリーニングに行く手間もお金もおさえてられる上に、「清潔なネクタイ」が手に入ります。実はネクタイだろうと「手順と方法」さえしっかり押さえておけば、自宅でも洗濯が可能になります。

ネクタイの洗濯は手洗いが鉄則

ご自宅で洗濯できるネクタイとは、「ウール」や「ポリエステル」素材です。これらのネクタイは、ご自宅で洗濯しても正しい洗濯方法を知っていれば、シワや型崩れが防止できます。

また、これらのネクタイだとしても、洗濯方法を間違えるとシワや型崩れを起こしてしまいますので細やかな注意が欠かせません。

シルク100%のネクタイや刺繍が入ったもの、プリントされた柄のネクタイは、自宅で洗濯しない方がよいでしょう。シルクはご自宅で洗濯すると、羽毛立ってしまって「型崩れ」を起こしやすくなります。

刺繍が入ったタイプのネクタイや、プリントもののネクタイも同じです。他には「色落ちの危険」があります。

手持ちのネクタイの数の「標準」は

「ネクタイは何本あればいいのか」という問いに対して、「何本」という正解はありません。それはネクタイは主に、ビジネスシーンで使われる物であり、また身だしなみや服装の「一部」でもあるからです。

おしゃれが好きな方なら、本数は自然と増えるでしょうから、仕事上「人に会う機会が多い」方は、相手に与える印象をふまえて、ネクタイの数を「多く揃える」でしょう。

自身に必要な本数を考える

逆に制服など、「スーツが必要ではない職業」の方でしたら、ネクタイは「必要最低限」の本数さえあれば大丈夫、とも言えます。

そうした点から考えるとネクタイは、「仕事のシチュエーションに合わせて揃える」または、「自分の好みやスタイルをアピールするもの」として捉えてみると、ご自身に必要な、ネクタイの本数が、見えてくるのではないでしょうか。

洗濯に向かないネクタイの素材は

ちりめん素材や特殊な加工がされた素材のネクタイは、非常に高度な洗濯の技術が必要です。そのため、残念ながら自宅では洗濯できません。

ですので、こうした素材のネクタイの選択でしたら、プロの手にゆだねましょう。ちなみにシワ加工やエンボス加工、刺繍がされたネクタイの洗濯も、ご家庭では控えましょう。

どうして自宅で洗濯ができないのか

①ちりめんのネクタイが自宅で洗濯できないわけ

縮緬(ちりめん)素材とは、表面に凹凸(シボ)を出した織物のことです。ちりめんにもいろいろな種類があり、おもにレーヨンやポリエステル製のもので、発色がきれいです。風呂敷の生地で、よく見かけることでしょう。ただしレーヨン製のものは 一般に家庭水洗濯できません。

②エンボス加工のネクタイが自宅で洗濯できないわけ

エンボス加工とは、裏面を押し上げて浮かせたり(=裏面は凹む)、表面に特殊なインクを付けることで凸部を形づくる加工のことを指します。エンボス加工のネクタイとは、そうした加工をほどこした生地や素材を用いたネクタイになります。

こちらも残念ながら、ご自宅では洗濯は控えた方がよいでしょう。せっかくの加工が台なしになってしまいます。例えば、エンボス加工でロゴ部分を立体的にさせてカットソーなどは、裏返して手洗いすることで、ダメージを最小限に抑えてご自宅でのお手入れができた、という声も聞かれます。ですがネクタイは、そういうわけにはいかないです。

エンボスの立体感が損なわれ、今までどおりに使えなくなる可能性が否定できません。
洗濯のハードルが高いものはできるだけ、クリーニング屋さんに相談するのがぶ無難でしょう。

③刺繍(ししゅう)入りネクタイが自宅で洗濯できないわけ

ネクタイに限らず刺繍(ししゅう)の入った服などは、「水に浸かると刺繍糸の色が抜けたり、刺繍糸の変質、刺繍が引きつれになったりする」こともあり、「刺繍されている布本体も水洗い厳禁の素材のこともある」など、お店でドライクリーニングをお願いしないと、その後使えないような残念な結果になりかねません。

洗濯時に、刺繍部分の保護をするのであれば、「洗濯ネット」を使うのがよいでしょう。洗濯の際、塩素系の漂白剤など「刺繍の色落ち」の原因になるものは、使用しない方が無難です。また乾燥機も、刺繍部分や生地そのものが傷んでしまうので使用を考慮したほうがよさそうです。

洗濯前の「色落ちテスト」を

ネクタイの洗濯前には、素材の確認の他に「色落ちの確認」も大切になってきます。それには、ネクタイの裏側に洗剤の原液をつけてテストしましょう。ご自宅で洗濯する、全てのネクタイに「色落ちテスト」をおススメします。

これを怠ってしまうと万が一、色落ちした時には後悔をまぬがれません。
一度色落ちしてしまったら、買い直さなくてはならないので、手間ではありますが、ご自宅で洗濯する「ネクタイ全て」の、色落ちテストをしましょう。

色落ちテストのステップ

色落ちテストをするには、ネクタイの裏地に洗剤の原液をつけて、1分以上置きます。それから白い布でもみながらふき取って、色落ちしなければご自宅での洗濯ができます。

万が一色移りしてしまった場合は、素材が何だろうとクリーニング屋さんにお願いしましょう。他のネクタイに色が移ってしまっても困ります。また、初めてご自身で洗濯する時には安い値段の、「比較的買い替えやすいネクタイ」で試しに洗濯してみるのがよいでしょう。

ネクタイを自宅で洗濯する前に

まず、洗いたいネクタイが「ご自宅での洗濯が可能なのか」を確認しましょう。ネクタイの一番のお手入れ法としては、「プロ」にお願いすることが、ベストであるとは言えます。ですが、ネクタイだけをクリーニングにお願いするのは、経済的な負担も少なくありません。

また、ご自身の「第一印象」を彩ってくれる「大切なアイテム」がネクタイです。ご自宅での洗濯のコツやお手入れポイントを知っていても、損はありません。緊急時の応急処置にも備えることができれば、多少高価なネクタイや、プレゼントしてもらった「思い出のネクタイ」に、何か起こっても、多少のことは怖くなくなります。

プロがこだわっている「仕上がりポイント」やお手入れ法、洗濯時の注意点など、この機会に覗いてみてはいかがでしょうか。

ネクタイの素材の素材に注目

ネクタイに使われている素材は、シルクやウール、ポリエステルなどが主です。この手の素材の中には色落ちがしやすく、しわになりやすいものがある点がネックです。

まず、ネクタイの素材を確認してみて、シミや黄ばみがあったら「ベンジン」を用意しましょう。ベンジンはホームセンターで購入可能ですが、誤ってシンナーを購入しないように気を付けて下さい。シンナーを使ってしまうう変色の恐れがあります。家庭用洗剤も、固形だと溶けにくいので避けましょう。

自宅でもできる!ネクタイのお手入れ方法

ご自宅でネクタイを洗濯するには、まず下記アイテムの準備から始めましょう。

①洗うネクタイ
②ベンジン(シミがある場合)
③家庭用液体洗剤
④洗面器
⑤アイロンと当て布(綿素材)
⑥ヘラ(木やゴム製)

当て布は、綿がです。手芸店で売られているシーチングなどのお手頃な値段の布、もしなければハンカチでの代用も可能です。当て布は必ず使うので、忘れないように準備して下さい。ではこれらを使った洗濯方法を、詳しくご紹介してきましょう。

色落ちの確認としては、ネクタイの裏側に「洗剤の原液を小さくつけ1分ほど置いてから、白い布を当てて軽くもんでみる」と、色落ちするかどうかがわかります。白い布に色うつりがなければ、ご自宅での洗濯が可能です。 

ネクタイを自宅で洗濯して失敗したこと

ネクタイをご自宅で洗濯してみて、苦い思いを経験したことがある方は、決して少なくないでしょう。失敗談と対策を以下にいくつか挙げてみましたので、ご参考になれば幸いです。

①しわしわになった

シルクのネクタイをご自宅で洗濯した際に、「しわしわになった」という方は多いでしょう。手間や難易度は高めな印象ですが、どうしても、ご自身で何とかしたいのであれば、こんな方法があります。

①ネクタイの縫製(ほうせい)をほどく。
②芯地を抜く。
③よれよれになっている芯地に、丁寧にアイロンをかける。
※お手持ちのネクタイで形が整っているものを、型紙にのせて型をとり、その形に合わせるようにして、アイロンをかけるのが仕上げやすいでしょう。
④表生地に丁寧に、アイロンをかける。しわしわになっていると、縮んだ状態と思われるので、アイロン台にまち針で止めながら、元の寸法まで伸ばすようにする。
⑤仕立て直し。剣先の裏布が修復不可能な時には、ここだけ別布と交換する。

ネクタイへの手間をどれだけかけられるか

手先の器用さ自身が持てない方だと、わずらわしく感じられるでしょうが、この作業ができなければ、ご自身では直すのは難しいでしょう。身近なところに裁縫好きな方がいらしたら、お願してみるのも、ひとつではないでしょうか。

こうした作業は、クリーニング店に頼んで直してもらうとしても、「洗い」「プレス」でのではなく「修理」部門の方が、直すことになります。そうなると、修理の分だけで数千円かかってしまうでしょう。

直す場合には、購入時のお値段よりも新しく買った方が、安く抑えられることもあります。
そのネクタイへの思い入れや洗濯時の手間、そうするだけの対価に相当するのかを、合わせてよく考えて決めるのがよいでしょう。

②よれよれになった

ネクタイは、社会人男性の多くが身につけなければならない「必需品」とも言えます。毎日使っていると、シワになりますし、タバコのヤニ、食事のしみなどで、ネクタイは意外と汚れやすい、ということはお気づきでしたか?

毎回、クリーニングに出すにもお金がかさみますし、かと言ってご自宅での洗濯で、失敗するのも嫌なものです。特に、シルクのネクタイは扱いが難しいです。

残念ながら、ネクタイは洗濯機で選択すると、「よれて」しまいます。それは、ネクタイの「生地」に原因があります。というのも多くのネクタイは、生地の縦方向に対して斜め(45度の角度)に裁断する方法=「バイアス断ち」で裁断されています。

ネクタイは「バイアス断ち」

ネクタイに、このバイアスで裁断した生地を使うことで伸縮性のある生地となり、結び目がゆるみずらく、また結びやすいネクタイになります。
このバイアスの生地というのはシワになりにくい反面、非常に伸びやすく水を含むと、型崩れしやすいというデメリットがあります。

そのため、洗濯機で洗濯をするとよれよれに型崩れしてしまうことになり、元に戻せなくなってしまいます。洗濯機で洗濯すると、中の芯がよじれたり、表面がシワだらけになってしまったはずです。

また、洗濯した後は直射日光に当てないように気をつけましょう。洗濯後は、しっかりと水気を吸い取って直射日光を避けた、風通しの良い場所で「陰干し」するようにしましょう。

自宅で洗濯できるネクタイの素材って?

では、ご自宅で洗濯できるネクタイの素材とは、どういうものなら大丈夫なのでしょうか。
ポリエステルや厚めの生地など、プリントされた生地のものなら、ご自身でも洗濯できます。素材がシルクのネクタイも、ご家庭での洗濯はハードルが高いです。

シルクのネクタイの繊細さ

シルクのネクタイは、なぜ自宅で洗濯できないのでしょうか。それはシルク素材はとても繊細で、デリケートな素材のため、洗濯(特に手洗い)が難しいからです。
水に濡れただけでも色落ちしやすく、洗濯後は縮んだり、小さなシワがたくさんできてしまいます。たとえご自宅で洗濯しようとしても、避けたほうが無難でしょう。

ちなみにドライクリーニングは、衣類への影響を抑えた有機溶液を使います。シルク素材のネクタイは、クリーニング屋さんでドライクリーニングをしてもらう方が、安心してまた使えるでしょう。

③ねじれてしまった

ネクタイがねじれてしまった時は、外注していないクリーニング屋さん(カウンターの後ろにクリーニングの機械が置いてあり、自店で作業している)で、わけを話してみるとよいでしょう。

ねじれに対する受注をしてくれるかどうか、元どおりになるかは別として考えたほうがよいですが、外注していないお店の仕事は丁寧でよい、という話は聞きます。身近な場所で探されてみるのも、ひとつではないでしょうか。

④よれてしまった

ネクタイがよれてしまうと、ほどいて中の芯を出してアイロンを掛けて、また縫うとことまでしないと、原型には戻りにくいと言われます。この場合も、上記のようなお店に相談するのがよさそうです。

ネクタイの「命」は中の芯地です。芯地がしっきりしていないと、いくら丁寧に外側にアイロンを掛けても、形が不安定なままです。

なのでネクタイは使い終わったら、「形を整える」ことと、「毎日同じものを使わない」ことがポイントです。ネクタイはすぐに型崩れを起こしてしまうので、ローテーションを組んで休ませながら使うと、長持ちしてくれます。

ネクタイも「お直し」できる?

ご自宅のクローゼットの中にしまいこんだまま、実は使っていないネクタイがたくさん、なんてことがあるでしょう。ご自身で購入したものだけではなく、父の日や誕生日、お礼や記念日といった「頂きもの」も、少なくないのではないでしょうか。

そうした頂きものが、ご自身の好みにピタッとハマっていたらよいのですが、柄や素材、幅など、使う方の嗜好(しこう=このみ)が、大きく出やすいのがネクタイです。使わないからといって、捨てられるかというと、そうもいかないでしょう。

頂きものだけでなく自分で買ったものも含め、なかなか使わないネクタイはありませんか。
せっかくあるのに、そのネクタイを使わない理由とは、なぜでしょうか。

使いずらいネクタイの活かし方

なかなか出番がないネクタイというのは、例えば

①幅が広くて、ちょっと恥ずかしい
②ネクタイの先が傷んだり、ほころびたりしてしまった
③自分には、ちょっと派手な柄で使いにくい、または地味で自分に似合わない

などでしょう。しかし①や②の場合だったら「お直しして使う」という手があります。

例えば、少し幅の広いネクタイの傷んだ部分をつまみ、折りこんでお直しする方法です。このパターンだと少し細めの仕上がりになり、今どきのネクタイ幅になります。ネクタイ端の傷んだ部分があったことなんて、表からも裏から見ても、お直ししたと言われなければほとんどわからないくらいになります。

ネクタイをネクタイ以外で使う!?

③の場合だったら、思い切ってネクタイとしては使わないというのもひとつでしょう。
中には、ネクタイをつなぎ合わせてベストにしたり、リフォームで違う「かたち」にする
人もいるそうです。

「ネクタイのお直し」って、あまり聞かないですが、そもそもネクタイって、お直しができること自体がメジャーではない傾向です。ネクタイの幅が広かったり、傷んだりほころびたりしていたら、どんなふうに変わるのかも、気に留めてみましょう。

ネクタイと摩擦

お気に入りのネクタイほど、先が傷みやすいです。ネクタイは、ベルトのバックルやスラックスのウエスト、かばんなど」が当たりやすく、生地がすれて傷みます。特に、素材が絹100%のものは、糸が細く繊細なものが多いので、摩擦に弱いことも多いです。

意外と人の目につく部分でもありますので、洗濯の際にチェックして、お直ししてみてはいかがでしょう。

専門家の意見を聞いてみる

専門家のクリーニング屋さんからの意見としては、品物の状態を見ていない状態では推察の域を出ないですが、結論から言うと自力での修復は無理、という見方が多いです。

クリーニング屋さんに持ちこんだ場合、芯地が折れ曲がっている状態であれば、糸をほどいて芯地を元どおりにし、縫い直す形になると時間と費用の面から見るとお勧めしかねる、という場合も考えられます。

とても大切なネクタイなので、「費用をかけてでもどうしても直したい」という場合なら、修理をするのももちろんよいのでしょうが、その時にはよく考えられた方がよさそうです。

ネクタイの上手な洗濯方法とは

①シルクのネクタイの場合

シルクのネクタイは、家庭での洗濯は無理だと考えられる方が多い傾向ですが、やり方さえ間違えなければ、シルクのネクタイもご自宅での洗濯が可能になります。以下の内容は、ちゃんとした洗濯方法をプロのクリーニング屋さんから伺ったものをご紹介します。

正直、ハードルは少し高いでしょうが、覚えておいて損はなさそうです。他のデリケートなアイテムも、洗濯できるようになることでしょう。

シルクのネクタイ、これだけはNG!

シルクは、とにかく水に弱い素材です。もっとも適している方法は、ドライクリーニングで間違いないですが、それをご自宅で洗濯するのですから、慎重に丁寧に、作業しなければならないのは、いうまでもありません。

ちなみに、洗濯機は絶対に使ってはいけません。ネットに入れたとしても、ドライマークコース、デリケートコースなどの名前がついている、いかにも優しそうなコースを選んでもいけないです。そのような洗濯プログラムでも負荷はかかります。小さな力も徹底的に回避しなければなりません。

もし洗濯機を使うなら

もしも洗濯機を使う場合には、ドラムがほとんど動かない「つけ置き」に近いコースを選ばなければなりません。もしも、安易に洗濯機を使って洗うと、

①表面がすれる
②シワができる
③中の芯地がヨレる

といった恐れがあります。もしも普通に洗濯した場合には、中の芯地はぐしゃぐしゃになり、再度使えないような状態となってしまうので、くれぐれもご注意ください。

もまない!絞るのも叩くのもNG

実際には、洗濯機を使わず手で洗濯しますが、その際にも「もむ、絞る、たたく」など、力を加えるような行為は極力避けましょう。「そんな洗い方で汚れが落ちるの?」と感じる方もいらっしゃるでしょうが、ついたばかりの汚れ、簡単な水溶性の汚れでしたら、問題なく落とせます。

そもそも、力を入れて洗濯したからといって、必ず汚れが落ちるとも限りません。シルク製品は、しみ抜きするのはプロでも難しい場合があります。ご家庭で落とそうとチャレンジするのは、リスクが高いです。この洗濯方法で落ちない汚れの場合は、クリーニング屋さんへ相談しましょう。

洗濯は「ゆらし洗い」で

ネクタイでも、アクロンやエマールといった「洗濯用の中性洗剤」を使えば、ドライマークがついていても、洗濯可能な場合があります。ただし絹、レーヨン、キュプラ、アセテートとその混紡素材や、芯地を使ったネクタイ、しわ加工やちりめん加工などを施した商品は、ご家庭での洗濯には向かないので注意が必要です。

※ネクタイにシミがついている場合、洗濯する前にしみ抜きを済ませておきましょう。しみ抜きは水に溶ける汚れは水で、油を含む汚れは中性洗剤の原液やアルコールなどを使ってします。シミが広がらないよう、水や洗剤をシミの周辺から、中心に向かって広げていくのがポイントです。

洗濯するペースは

そもそもネクタイって、どのくらいのペースで洗濯すればよいのでしょうか。そんな疑問を持たれる方も、多いのではないでしょうか?

①1か月に1度
②半年に1度
③季節ごとに洗濯する
④ネクタイは洗濯せず、汚れたら捨てる

さまざまな考え方がありますが、一番のおススメは「汚れたら出す」。汚れが目立たない時には、季節ごとに洗濯します。最近は「クールビズ」の普及で、夏はネクタイをしないという方も多くなりました。季節ごとに洗濯するのが難しいのなら、ネクタイのクリーニングは、長期休暇やオフシーズンの時がよさそうです。

ネクタイの弱点

ネクタイは、シルク生地でバイヤス(斜め)に裁たれて作られています。着用する時は、伸縮性があって滑りもよく、結び目も作りやすいです。ねじれないという特徴もありますが、「布目が動きやすい」という欠点もあります。

また、芯地には麻や綿などが使われており、この芯地が中で「コロコロ」になってしまうので、ご自身で洗濯するのはリスクが大きいアイテムともいえます。

シルクのネクタイの洗い方

1.まずは「ネクタイの状態チェック」から

シルクのネクタイを実際に洗濯する時のポイントは、「状態をチェックする」ことです。これを怠ると大変なことになります。シルクの水洗いは、かなり難易度が高いので心して取りかかるとしましょう。

ネクタイの洗濯に慣れていないうちは、いきなりお気に入りのネクタイでチャレンジすることは避け、まずは古いネクタイなどで試しに洗濯してみるところから始めましょう。

「すれ」や汚れを有無を見る

最初に、ネクタイの「すれ」や「汚れの有無」を確認しておきます。肌に触れるものではない分、汗や皮脂は付着しにくい反面、「飲食の際の汚れ」がつきやすいです。一番目立つ胸元にくる、ネクタイは「意外と汚れているもの」です。

ネクタイの「剣先の角」はすれて、生地が薄くなりがちです。これを「いい機会」と捉えて、細かい部分の状態を把握しておきましょう。この時点で確認したダメージが見られる部分は、洗濯する時にも特に、注意してこれ以上負担をかけないよう作業しましょう。

2.洗濯機ではなく「手洗い」で!

洗濯する場合は、「シルク100%」と「ドライクリーニングのみ」の場合はクリーニング屋さんへお願いしましょう。ネクタイの裏の「洗濯表示」を確認し、シルク100%やドライクリーニングのみ、と記されていたら、ご自宅で洗濯するのではなく、クリーニング屋さんに出します。

プリントされたものは、色落ちしやすいので洗濯するのは控えましょう。またおしゃれ用のネクタイで、ちりめんの柄や刺繍が入っていたり、エンボス加工されているものも「プロの扱い」が必要ですので、クリーニング屋さんに出すのがおススメします。

3.洗濯後の水切り

ここまできたら通常なら脱水工程に進むのですが、もちろん洗濯機の「脱水機能」は使いません。「タオルドライ」は最も安全な乾燥方法といえます。大きいバスタオルを使って、水を吸い取っていきます。

これは「タオルドライ」という方法です。型崩れしやすそうなものを取り扱う時には、有効な手段です。例えば、ぬいぐるみなどを洗濯する時にもこの方法で脱水します。ポイントは、「力をかけすぎず、優しく丁寧」に、です。

タオルドライで吸い取る

タオルドライで上から軽く押さえて、水分を吸い取っていきます。タオルの位置をずらしながら、水が出なくなるまで繰り返しましょう。ネクタイの状態をキープしながら、バスタオルで包み込んでいきます。

バスタオルは新品でない(できれば柔軟剤も使用していない)吸水性の良いものが最適です。くどいようですが「ギュッと絞らず、優しく丁寧」に作業しましょう。

②ウールのネクタイの場合

ウールのネクタイはデリケートで毛羽立ちやすいので、洗濯するには注意が必要です。またちりめん素材や、特殊な加工を施した素材は「非常に高度な洗濯技術」が必要になります。ですので、ご自宅では洗濯できかねます。プロの手にゆだねた方が無難でしょう。
 

③化繊のネクタイ

ポリエステルやプリントのネクタイの場合は、ご自宅での洗濯も可能です。「手洗い専用」の洗剤も発売されています。手順としては、

① シミや、汚れが目立つ部分を手でもむ
② ネクタイの専用洗剤などをもみながら塗る
③シミが強い時には、綿素材(シーチングなど)に水を含ませ、シミをパッティング
④ ネクタイを洗濯ネットに入れます(なるべく3つにたたむ)
⑤ 洗面器やタライなどに、ネクタイを入れて「漬ける」
⑥ 5分~10分経ったら、ネットに入れたままの状態ですすぎ、タオルドライ
※ ネットから出して、ネクタイの折り目とサイドを合わせて形を整えてから、つるしておく と、シワになりにくいでしょう。

ネクタイへのアイロンの上手な当て方

ネクタイは表面が乾いても、中の芯地が濡れている場合があります。芯地が乾いているかどうかも、確認して取り込みましょう。焦らず一日かけて作業するつもりで、しっかりと乾かし、軽くアイロンをかけてキチンと仕上げます。

細かい部分まで丁寧に、「端の反り返り」も修正していきます。ネクタイは、胸元を飾る「他の人の目にも付きやすい」アイテムです。細かい部分までチェックして、キレイに仕上げます。

ポイントは、「ネクタイの裏側からアイロンをかける」ことです。その際には、直接アイロンをかけることはせず、必ず「当て布」を。当て布はハンカチで代用してもOKです。アイロン面が、ネクタイに当たらないようにするためです。

アイロンはスチームで

アイロンがけするとはいっても、力を入れてプレスするようなことはしません。アイロン面が軽く触れる程度で、「プレスするのではなく押さえつけずに、蒸気を当てるイメージ」です。ぺったんこになってしまっては、ネクタイは不格好ですから。

さらにもうひとつ、ポイントがあります。前述のとおり、ネクタイは少し厚みがあったほうが上品です。それを演出するには、太めの針金(または菜箸)をネクタイの中に入れて、横の線をアイロンで消すのです(この方法は、ネクタイを仕上げるマニアックなポイントです)。これで、数mmですが厚みを作り出します。

細かいシワと立体感はアイロンで

この状態で、上からアイロンをかけることで、最初のアイロンがけでついてしまった線も消えて、適度な膨らみが生まれます。ひと手間はかかりますが、ネクタイの仕上がりに格段の違いをもたらします。ぜひ試してみてください。

また洗濯したネクタイにできる細かいシワは、アイロンを当てることで解消されます。ポイントは、「直接アイロンを当てるのではなく、スチームを当てる」ことです。ネクタイを浮かせた状態で、1~2mm離れたところからスチームを当てましょう。ネクタイのツヤも回復し、より美しい仕上がりになります。

ネクタイの清潔さを長持ちさせるコツ

ネクタイは、日々繰り返し使われることで、特に結び目のところは「手あか」などで、一番汚れやすい部分です。ネクタイ自体に、なるべく汚れがつかないようするには、まず「顔や首の汗、皮膚の汚れ」などを、ウェットティッシュや湿らせた布などで、まめに拭いてあげましょう。

同じものを続けて使わない

これはネクタイに限ったことではありませんが、「全てのアイテム」に共通します。それは、「同じものを続けて使用しない」ということです。いくら、お子様や奥様、大切な方からの頂きものだとしても、毎日同じものを使い続けるというののはおススメできかねます。

できれば3本以上で

3本以上のネクタイをローテーションして、使い終わったネクタイは、クルクルっと丸めてシワを伸ばしてあげましょう。基本的にネクタイのシワは、吊るして保管することで取れます。保管の際はポールに掛けるか、市販のネクタイ専用ハンガーを利用しましょう。

ネクタイは、シルク素材のものが多く、こすることで白くなって(白化して)毛羽立ってしまう場合があります。こうなると、クリーニング屋さんに出しても、元に戻すことが難しくなってきます。

もちろん、白化したところに色を入れて直すことはできますが、「柄の部分に色を入れる」というのは大変高度な作業です。また、毛羽立ってしまったものの修正は、角度により見え方がちがうので大変困難になります。

保管の前に・汚れた時すぐできる対処法

ネクタイを吊るして休ませる前に、汚れがついているか確認するのを忘れなようにしましょう。予後だがついてしまった場合は、「先に汚れを取ってから保管する」ことが大事なポイントです。そこで一番に思いつくのは、シミや汚れの箇所をゴシゴシとこすってしまうことです。

しみや汚れが付いてしまった時、水分はティッシュなどで吸い取り「決して擦らない」のがポイントです。汚れがついたまま保管すると黄ばみ、虫食い、カビの原因になってしまうので十分に注意してしましょう。

ネクタイのしみ抜き方法は

シミがあった場合、まず最初にベンジンをしみ込ませます。ベンジンは、揮発(きはつ:常温での急速な蒸発を揮発ということがある=コトバンク)しやすく可燃性です。そのため風通しがよい場所で行うのが望ましいです。ベンジンを使う前に、周りに火気がないかも確認したうえで作業しましょう。

ベンジンは小さな容器に移して、ヘラで少しずつ浸けていくようにします。軽くこすって、汚れを浮き上がらせるようにすることで、シミが取れやすくなるからです。
 市販のしみ抜きを使ってもよいでしょうが、素材を損ねないように注意書きなどを十分に読んでから行うようにしましょう。

きれいなネクタイを保つために

ネクタイの洗濯は面倒だと感じる方が多いことでしょう。ですがネクタイは、シミが付きやすいアイテムです。気がついたら「小さなしみ」ができていた、ということもあります。もし、大切な取引や社交のシーンでそのまま着用していたとしたら、不衛生な印象を持たせたりしかねません。

ネクタイを手入れをしっかりして、どこにてでも恥ずかしくないようにしましょう。

初回公開日:2017年12月05日

記載されている内容は2017年12月05日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
また、記事に記載されている情報は自己責任でご活用いただき、本記事の内容に関する事項については、専門家等に相談するようにしてください。

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