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屋根の種類と特徴・構造|素材/家/マイクラ/オープンカー

更新日:2020年08月28日

身近な存在でありながら家のメンテナンスの中でも今ひとつ関心が薄いのが「屋根」ですが、よく観察してみると面白いことに気づくようになります。ここでは、長い歴史と文化に支えられて今も進化をつづける屋根の種類について紹介します。

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日本の屋根の歴史

屋根のリフォームや新築の際、忘れてならないのが屋根のデザインです。、社会科で習った古代の竪穴住宅や高床式住宅までは覚えていても、その先の屋根の歴史や種類は案外知らないという人も多いのではないでしょうか。身近すぎて普段あまり気にも止めない「屋根」ですが、基本的な知識があると何気ない風景も楽しくなってきます。日本家屋の屋根の歴史と種類をご紹介します。

茅屋根

日本の屋根にはいくつかの種類がありますが、その原点は、建材を草やススキなどの草木に由来する木造住宅です。屋根材には「草葺き(くさぶき)」や「茅葺き(かやぶき)」などを使いました。「葺く(ふく)」とは、瓦などで屋根を覆うという意味の「ルーフィング(roofing)」のことで、屋根だけをリフォームすることを「屋根を葺き替える」と表現します。

日本最古の建築様式を今に伝える「伊勢神宮」は、20年に一度の「式年遷宮」で建物全体を丸ごと立て直すことで有名ですが、屋根は平安時代の寝殿造りにも用いられているのは「檜皮葺(ひわだぶき)」という種類です。草葺屋根のなかでも檜(ひのき)の樹皮を使った檜皮葺は世界に例がないことから、日本独特の伝統的手法といわれ、木の皮をはがす職人のことを「原皮師(もとかわし)」と呼びます。

瓦屋根

寺院建築とともに伝来した「瓦葺き(かわらぶき)」は、現在でも寺院建築に多く用いられている種類の屋根で、日本最古の木造建築物である「法隆寺」の屋根も瓦葺きです。瓦には「平瓦」と「丸瓦」の2タイプがありますが、これらを交互に組み合わせたものが城郭建築などに見られる「本瓦葺」と呼ばれる種類です。

瓦は陶器や粘土などを材料とするため、数ある種類の中でも特に耐久性に優れ、梅雨や台風など湿気の多い日本の気候風土に適した屋根として重用されました。一般の住宅に用いられるようになったのは江戸時代のことです。

金属屋根

銅葺き屋根などの金属製の屋根材は、屋根の軽量化や耐火性を図る目的で、金属加工技術の進んだ江戸時代の後期から用いられるようになった種類の屋根です。古い10円玉などでも時おり見られるように、銅は酸化すると「緑青(ろくしょう)」と呼ばれるサビが付き、保護皮膜となってさらに耐久性を増します。

銅は高価なため一般には普及しませんでしたが、現在ではトタンやアルミなどのほか、スチール(鉄)、アルミニウム合金、チタニウム、亜鉛合金などの種類が屋根材として採用されています。薄くて軽い金属の板を加工して用いることから、どんな形状にも複雑に対応できるのが特徴です。

屋根の種類別特徴と構造

現在、日本で見られる屋根の種類は、大きく4つの基本的な形に分類することができます。最近の建物では、純和風というよりもいくつかの屋根の種類を組み合わせたモダンな外観の住宅が目を引きますが、それぞれの種類の特徴や長所などを、順に追って見ていきましょう。

切妻屋根

「切妻(きりづま)屋根」は、もっともポピュラーな種類のいわゆる三角屋根で、簡素な山小屋や鳩時計をイメージすると分かりやすいでしょう。屋根の頂上部分に1本の線(大棟)が走り、そこから下に向かって2枚の野地板(のじいた)が伸びる構造です。

「妻」とは、大棟に対して直角の面のことで、妻面に玄関がある種類を「妻入り(つまいり)」と呼びます。また、大棟や屋根面に対して水平の面は「平面(ひらめん)」と呼び、平面に入り口があるものを「平入り」と言います。一般家屋には妻入りが多いのに対し、お寺の本堂などは間口の広い平入りが多いように見受けられます。

三角形を形作る部分は「ケラバ」と呼ばれ、大棟から下って屋根板が終わる部分を「軒先」と言います。シンプルな構造なのでメンテナンスにもコストが掛からず、雨漏りしにくいのが特徴です。

寄棟屋根

切妻が2枚の屋根板で構成されるのに対し、「寄棟(よせむね)屋根」と呼ばれる種類の屋根は、1本の大棟と4枚の野地板、4本の「下がり棟」から成る構造をしています。切妻に次いで多くみられる種類で、上空から見ると短い大棟から4本の下がり棟が家の四隅に向かって伸びていることから、棟を寄せた屋根という意味で「寄せ棟」と呼ばれます。

大棟と下がり棟が接する部分を「かき合い」と呼びます。3枚の屋根板が「Y」の字に集まるポイントで、雨漏りが発生しやすいと言われています。寄棟には「かき合い」が2か所存在しますが、加工に手間がかかるため、切妻に比べてメンテナンスにコストが掛かりやすくなります。

屋根の上部が切妻で、下部が寄棟になったものを「入母屋(いりもや)屋根」と呼び、地方によっては大変多く見かけます。天守閣を思わせる複雑な外観で、それだけにメンテナンスや雨漏りのリスクは高いと言えますが、貫録のある佇まいでがあります。

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初回公開日:2017年11月11日

記載されている内容は2017年11月11日時点のものです。現在の情報と異なる可能性がありますので、ご了承ください。
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