観葉植物としての苔の育て方のポイント|土/水やり/肥料
更新日:2020年08月28日
観葉植物としての苔の育て方
苔というと、知らない間に湿った場所で鬱蒼としている、そんなマイナスなイメージを持つ人が多くいますが、古寺名刹の庭や盆栽、あるいは園芸など、苔を観葉植物として育てるという風習は、古来からの日本の良き伝統といっても過言ではありません。
生育場所や生育環境などの違いもあり、苔の育て方の場合、草木などの一般的な園芸植物とは違うポイントが予想されますが、実際どのような点で、気を付ければよいのでしょうか。
観葉植物としての苔玉の育て方のポイント
苔玉とは、植物の根を用土に包んで球状にし、表面に苔を張って固定したものをさします。当然ながら、そのままの状態ですと、簡単に苔がはがれてしまいますので、糸などで巻いて、はがれないように固定する、苔の育て方になります。
苔と聞くと、和のテイストを連想しがちですが、実際は和室洋室問わず、さまざまな住宅環境にマッチし、鉢に植えてよし、吊るして良しと、楽しみ方もバラエティに富んでいます。
この項では、初心者でも気軽に楽しめる、苔玉の育て方について解説します。
土
最近では、用土を使用しない苔玉の育て方もありますが、上級者向けのため、あまりお勧めはできません。初心者には、園芸用土を使用し、丸い土の塊を作る方法の方が、手軽な育て方となるでしょう。
材料は、粘性のあるケト土と呼ばれる園芸用土と、小粒の赤玉土、他に観葉植物を組み合わせて植える場合は、山野草の土や観葉植物の土なども用意しましょう。
ケト土と赤玉土は、7:3の割合で配合します。ケト土は、自然由来の園芸用土ですので、使用する際には、小さな枝やゴミなどが混ざっていないかの確認をし、見つけたら取り除くようにしましょう。水は少しずつ加えてゆき、耳たぶくらいの固さにこねるのがポイントです。
十分にこねたら、形を整えます。「玉」とは言え、必ずしも丸に拘る必要もありませんので、好きな形に整えましょう。また、苔が育った時の大きさも考えながら、大きさを考えましょう。
植物の植え込み
苔玉に観葉植物を植えこむ育て方の場合は、観葉植物を植えられるよう、用土をお椀状にして形を整えます。形を整えてから、山野草の土などを少々入れ、植えたい植物を入れた後、再び用土を入れて、植物を植えこみます。観葉植物を植えこむ用土に、観葉植物用の元肥を施肥しておくと、後の苔玉育て方の工程が楽になるでしょう。
植物を植えこむ際は、全体のバランスを考えながら配置するようにしましょう。また、植えこむ際に、伸びすぎた根や葉はカットするとよいでしょう。
観葉植物などを植えこんだ後、ケト土の、お椀状にした上の部分を閉じるように包んで、蓋をします。見栄えなどを考慮しながら、全体の形を整えましょう。
苔貼り
観葉植物を植えた状態など、ケト土の玉の形を整えた後、ケト土が見えないように、表面に苔を貼っていきます。貼り付ける苔は、ホームセンターなどでも販売されていますが、家の庭の隅などにひっそり生えているものなどを使用すれば、コストを抑えられます。同じ種類の苔を用意できない場合は、異なる種類のものを用意するのもよいでしょう。
土を隠すように苔を貼っても、すぐはがれてしまいますので、テグス糸で固定をします。タスキ掛けの要領でX字を描くように、まんべんなく巻きましょう。全体にバランスよく、偏りを作らないように巻くことがポイントです。
巻き終わった苔玉は、飾り終えてから完成となります。吊るして飾ったり、お皿に置いて飾ったり、自分の好きなように飾りましょう。吊るして飾る場合は、苔玉が落下して、今迄の工程が無駄にならないよう、注意が必要です。
水やり
苔は湿気の多い場所に育つ植物ですので、水を切らさないように注意することが、育て方のポイントとなります。霧吹きで全体を吹きかけて、全体がしっとりとした状態を保つような育て方を心掛けましょう。
また、水を苔玉全体に浸み込ませる育て方を行うことにより、苔玉や一緒に植えてある観葉植物を枯らせずに済ませることができます。水を張ったボウルやバケツなどに、苔玉全体を漬け込むように入れ、15分から30分そのまま置いておきましょう。
水へ浸す前と比べ、苔玉全体に、ずっしりとした重さを感じたら、水が苔玉の芯までにいきわたった証拠となります。
この作業を、夏場に1日1回、冬場に週に2、3回行うと、苔玉や一緒に植えてある観葉植物などを枯らさず、失敗しない育て方へと繋がります。
肥料
苔は、基本的に肥料を必要としない植物です。苔を貼っただけの苔玉の場合は、肥料は全く必要ありませんが、苔玉に観葉植物を一緒に植えてある場合は、その観葉植物への施肥が必要となります。
苔玉を完成させてからの追肥の場合は、液体肥料の使用が便利です。液体肥料の説明書のとおりに施肥をした場合、液体肥料が苔にとって強すぎて枯れる場合がありますので、規定の倍率の2倍に薄めて、施肥を行いましょう。
植物の成長に合わせ、週1~2回、水やりの際に施肥をするのが、育て方のポイントとなります。また、観葉植物を植えこむ際、前もって用土に元肥を施肥してある場合は、液体肥料の工程は不要となる場合がありますので、植物の成長の様子を見ながら、必要に応じて行うようにしましょう。
日陰
苔は湿気の多い日陰に育つため、日当たりは必要ないと思われがちですが、苔植物も光合成を行うため、当然日当たりは必要となります。また、室内などで育てる場合も、時々日当たりのよい場所などに置いて、日光浴などをさせた方が、よりよい苔玉へと育てる育て方のポイントとなります。
室内の苔の育て方
初回公開日:2018年02月07日
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